Graphical Kernel System

グラフィカルカーネルシステム（GKS）は、1977年に初めてISO（国際標準化機構）によって標準化の議論が開始された、低水準コンピュータグラフィックスの先駆けとなる規格です。1982年に規格の草案がまとめられ、1985年にはISO 7942として国際規格が正式に発行されました。日本では、1990年にJIS X 4201-1990『グラフィクス中核系』としてGKSの規格が制定されました。

概要

GKSは、主に図表作成に適した2次元ベクタグラフィックスの描画機能を提供します。その設計は、異なるプログラミング言語、グラフィックスデバイス、ハードウェア間での高い移植性を実現することに重点が置かれています。これにより、GKSを使用して開発されたアプリケーションは、様々なプラットフォームやデバイスで容易に利用できます。

1980年代から1990年代初頭にかけて、GKSはコンピュータワークステーションで広く利用されていました。デジタルリサーチ社のGSXやGEM製品の基盤となり、特にAtari STや、Ventura Publisherと連携したPC環境で普及しました。しかし、これらの市場以外での利用は限定的で、現在ではコンピュータグラフィックスメタファイルを定義するAPIとしての役割を除いて、ほぼ廃止されたと見なされています。GKSの後継規格としては、PHIGSが挙げられます。

GKSの開発と普及に尽力した人物として、ドイツのフラウンホーファー研究所（IGD）の元ディレクターであるホセ・ルイス・エンカルナサンがいます。

GKS-3D

GKS-3Dは、2次元座標データを扱う従来のGKSを拡張し、3次元座標データを取り扱えるようにした規格で、1988年に制定されました。この拡張により、隠線処理や隠面処理など、3次元コンピュータグラフィックス特有の機能に対応できるようになりました。GKS-3Dは、GKSとの上位互換性を持っており、GKS向けに作成されたプログラムをGKS-3D環境下で実行することが可能です。

標準規格

GKSは、以下の規格で標準化されています。

ANSI規格: ANSI X3.124 (1985年)
ISO規格: ISO/IEC 7942 (1985年に第1部、1997年から1999年にかけて第2部から第4部)
言語バインディング: ISO 8651
GKS-3D: 機能定義ISO 8805、C言語バインディングISO 8806
STEP標準: ISO 10303-46にてデータモデル標準として定義

関連項目

一般グラフィックス・インターフェイス
IGES (Initial Graphics Exchange Specification)
コンピュータグラフィックスメタファイル
* PHIGS

関連書籍

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出典

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外部リンク

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脚注

この記事は、英語版ウィキペディアの同項目記事（2012年4月30日版）を翻訳したものです。

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