IChat

iChatとは

iChat（別名:iChat AV）は、Appleが開発したmacOS向けのインスタントメッセージアプリケーションです。テキストメッセージ、音声通話、ビデオ通話、画面共有など、多様なコミュニケーション手段を提供していました。

主な機能

インスタントメッセージング: XMPP/JingleやOSCAR(AIM)プロトコルを介したテキストメッセージの送受信。
音声・ビデオ通話: SIPを基盤とした音声・ビデオ会議機能。
画面共有: 他のユーザーと画面を共有し、共同作業が可能。
ローカルネットワークディスカッション: Bonjourプロトコルを利用したローカルネットワーク上でのユーザー検索とディスカッション。

インターフェース

iChatは、Aquaインターフェースを採用し、チャット体験を擬人化して表現しました。ユーザーのステータスは、緑（会話可能）、黄色（アイドル）、赤（会話不可）のアイコンで表示され、色覚特性を持つユーザー向けに形状によるステータス表示も可能でした。

歴史

初期のiChat

2002年8月にMac OS X v10.2とともに最初にリリースされました。アドレス帳やメールアプリケーションとの統合が図られ、Mac OS Xにネイティブ対応する初のAIMクライアントとして正式にサポートされました。

iChat AV

2003年6月には、2番目のメジャーバージョンであるiChat AVが発表されました。SIPを基盤としたビデオ・音声会議機能が追加され、Mac OS X v10.3と同時にリリースされました。

iChat AV 2

2004年2月には、AOLがWindowsユーザー向けにAIM 5.5を発表し、AIMプロトコルでのビデオチャットを可能にしました。同日、AppleはMac OS XユーザーがAIM 5.5ユーザーとビデオ会議ができるiChat AV 2.1のベータ版をリリースしました。

iChat AV 3

2004年6月には、Mac OS X v10.4に内包されたiChat AVの次バージョンが発表されました。このバージョンでは、ビデオ会議の参加人数が4人に、音声会議は10人に拡大されました。また、H.264/AVCコーデックの採用により、旧バージョンよりも高画質な映像を実現しました。さらに、XMPPプロトコルに対応し、Google トークに直接接続できるようになったほか、Facebook ChatやYahoo! Messengerのユーザーにも間接的に接続できるようになりました。ただし、XMPPのすべての機能がサポートされたわけではありません。

2005年10月には、暗号化されたやり取りが可能になりましたが、これはAppleのMobileMe会員限定の機能でした。Mac OS X v10.4.3へのアップデートで、XMPPマルチユーザーチャットへの対応も追加されました。

2007年3月には、FireWireだけでなく、USB video device class (UVC)対応カメラも使用可能になり、より多くのカメラが利用できるようになりました。

iChat 4

Mac OS X v10.5に内包されたiChat 4では、iChatシアター、バックドロップ、Screen Sharingなどの新機能が追加されました。iChatシアターでは、写真やプレゼンテーション、ビデオなどを共有でき、「バックドロップ」ではビデオチャットの背景に画像や映像を設定できました。Screen Sharing機能では、2人のユーザーがデスクトップを共有し、共同作業が可能になりました。

iChat 5

Mac OS X v10.6と共にリリースされたiChat 5.0では、ビデオに必要な帯域幅が削減され、iChatシアターも同解像度に対応しました。

iChat 6

Mac OS X v10.7と共にリリースされたiChat 6.0では、Yahoo! Messengerに対応し、Yahoo! Mailアカウントでチャットが可能になりました。また、サードパーティ製プラグインにより、他のプロトコルへの互換性も実現しました。

Messagesへの移行

2012年2月16日、AppleはMessagesという新しいメッセージクライアントをOS X Mountain Lionの一部として発表しました。iMessageプロトコルに対応することで、iOSデバイスとの互換性が確保され、FaceTimeにも対応し、可能な場合はビデオ通話ができるようになりました。iChatは、Messagesに置き換えられ、その役目を終えました。

対応プロトコル

iChatは、AIM OSCARプロトコルの公式実装を使用しており、XMPP転送を介して、AIM、Yahoo! Messenger、MobileMe、ICQ、XMPPクライアントとして利用可能でした。また、Google トークのコンタクトをXMPPペインに統合することもできました。

関連項目

FaceTime
メッセージ (Apple)
ビデオ会議

外部リンク

Official website
XMPP Standards Foundation
Messages Beta Download

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