IPhoto

iPhoto：Apple謹製デジタル写真管理ソフトウェアの全貌

iPhotoは、Apple社が開発した写真管理ソフトウェアです。同社の統合ソフトウェア製品であるiLifeシリーズに含まれており、デジタルカメラで撮影した写真の管理、閲覧、共有、編集を主な目的としていました。Windows版は存在せず、macOSとiOSでのみ利用可能でした。

写真管理機能：整理整頓から検索まで

iPhotoの中核は、デジタル写真を効率的に管理する機能です。取り込んだ写真はライブラリに集約され、アルバムに分類して整理できます。各写真にはタグ、評価、コメントなどを付加でき、これらの情報に基づいてスマートアルバムを作成することも可能です。macOS v10.4以降では、iPhotoで付与した情報がSpotlight検索にも対応し、iPhotoを起動しなくても高速に画像検索ができました。

旧バージョンであるiPhoto 2は無料で配布されていましたが、それ以降のバージョンはiLifeに同梱されていたり、Macハードウェアにプリインストールされていました。iPhotoは主に一般消費者向けでしたが、より高度な機能を必要とするプロシューマ向けには、AppleからApertureが提供されていました。

iPhotoのインターフェースはiTunesと似ており、アルバムがiTunesのプレイリスト、スマートアルバムがスマートプレイリストに対応していると考えると、使い方が理解しやすいでしょう。類似のソフトウェアとしては、アドビのPhotoshop Album、GoogleのPicasa、マイクロソフトのWindows フォト ギャラリーなどが挙げられます。

多彩な機能：編集から共有まで

iPhotoは写真の整理だけでなく、簡単な写真のレタッチ機能や、写真を共有・公開するための機能も備えていました。

写真の取り込み： デジタルカメラから直接写真をインポートでき、日付ごとにイベントとして管理することができました。

レタッチ機能： 写真の明るさ、コントラストの調整、赤目修正、トリミング、サイズ変更などの基本的な編集機能が搭載されていました。編集はコピーファイルに対して行われるため、いつでも元画像に戻すことが可能です。

スマートアルバム： タグ、コメント、評価、ファイル名、撮影日などの条件を指定してアルバムを作成し、条件に変更があった場合でもリアルタイムに更新される機能です。

顔認識機能(iPhoto '09から)： 写真中の人物を認識し、人物ごとに写真を分類・検索できる機能です。

スライドショー： アルバムや選択した写真からスライドショーを作成でき、iTunesのライブラリからBGMを追加することも可能です。様々なエフェクトやトランジションも利用できます。作成したスライドショーはQuickTimeムービーとして書き出したり、Keynoteに取り込むこともできました。

撮影地情報(iPhoto '09から)： GPS内蔵カメラで撮影した写真は自動的に撮影地情報が記録され、管理できます。GPS非搭載カメラの写真には手動で位置情報を追加する必要がありました。

パブリッシング： コダックのサービスを利用して写真のプリント注文や、テンプレートを用いたフォトブック作成が可能です。オンラインで注文できます。

写真の共有： BonjourによるiPhoto Bonjour共有機能で、LAN内の他のMacと写真を共有できました。

写真の書き出し： 画像ファイル、アルバム、スライドショーを様々な形式で書き出したり、MobileMe、Facebook、Flickrなどのオンラインフォトアルバムにアップロードすることができました。ライブラリ全体のバックアップも可能です。iMovieとも連携し、iPhotoの写真を直接iMovieに取り込むことができました。

拡張機能： プラグインを追加して機能を拡張できます。Picasa Web Albumへのアップロード機能などを提供するプラグインがサードパーティーから提供されていました。

問題点とバージョン履歴

初期のiPhotoは動作が重く、特に大量の写真を管理する際に起動が遅いという問題がありましたが、バージョンアップによって改善され、バージョン6では25万枚の写真を管理可能になりました。

バージョン履歴には、機能強化やパフォーマンス向上に関するアップデートが数多く含まれていました。(詳細は省略)

写真.appへの移行

2015年のOS X Yosemite 10.10.3以降は、iPhotoの後継アプリである「写真」が搭載されるようになりました。「写真」アプリはiCloud写真に対応していますが、iPhotoのデータは移行する必要があります。macOS Catalina 10.15からはiPhotoは利用できなくなりました。

iPhotoは長年に渡り多くのユーザーに利用されてきた、Appleの代表的な写真管理ソフトウェアでした。その機能性と使いやすさは、多くのユーザーに快適な写真管理体験を提供しました。

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