Ivory III

Ivory III（アイボリー・スリー）は、日本の歌手・今井美樹が2004年6月16日に発表した通算5枚目のベスト・アルバムである。

1993年発表の『Ivory II』以来、およそ10年ぶりとなるベスト・アルバムシリーズの最新作として位置づけられている。本作は、東芝EMIから発売されたが、今井が過去に所属したフォーライフやワーナーからリリースされた楽曲も含め、レーベルの垣根を越えて収録されている点が大きな特徴となっている。

収録内容は、単に過去のシングル曲やアルバム収録曲をオリジナルバージョンで集めた従来のベストアルバムとは一線を画すものとなっている。既発曲に加え、新たに録音されたセルフカバーバージョン、著名なリミキサーによる再構築された楽曲、ライブパフォーマンスからの音源、さらには音楽家・千住明による書き下ろしのインストゥルメンタル楽曲など、バラエティ豊かな音源が収められている。

商業的にも成功を収め、オリコンアルバムチャートでは最高位2位を記録している。

発売形態としては、初版がCDと特典DVDの2枚組でリリースされた。特典DVDには、2003年末に渋谷オーチャードホールで行われたライブから厳選された5曲の映像が収められていた。その後、2005年12月7日にはパッケージデザインを一新したCDのみの仕様で再発売されている。さらに、2009年3月25日には高音質素材であるSHM-CD仕様の完全生産限定盤としてもリリースされており、長きにわたり愛聴されているアルバムである。

収録曲には、シリーズの始まりを飾る千住明作曲・指揮によるインストゥルメンタル「Overture -for Ivory III-」をはじめ、千住明による新たな編曲でセルフカバーされた「野性の風 -2004 New Rec.-」や、武部聡志の編曲でセルフカバーされ大阪ガスのCMソングとしても使用された「瞳がほほえむから -2004 New Rec.-」といった再録バージョンが含まれる。また、『Blooming Ivory』に収録されていたGOH HOTODAによるリミックス音源「PIECE OF MY WISH -2000 Mix-」や、原曲を久石譲が編曲した「The Days I Spent With You」の新しいアレンジバージョンも収録。ライブ音源としては、1999年日本武道館でのパフォーマンスから「Miss You -1999 Live at Budokan-」、2002年にキリスト品川教会グローリアチャペルで行われたライブから「潮騒 -2002 Live at Gloria Chapel-」が収録されており、当時のライブの空気感を伝えている。

本作の制作には、今井美樹自身のボーカルに加え、千住明、布袋寅泰、武部聡志、林立夫、高水健司、今剛、松原正樹、斎藤有太といった、日本の音楽シーンを代表する錚々たるミュージシャンが多数参加しており、サウンド面においても非常に充実した内容となっている。各楽曲において、参加ミュージジンたちがそれぞれのスキルと個性を発揮し、今井美樹の歌声に彩りを添えている。この豪華なプレイヤー陣も、本作の聴きどころの一つと言えるだろう。

このように、『Ivory III』は、単なるヒット曲集にとどまらず、セルフカバーやリミックス、ライブ音源、インストゥルメンタルといった多様な形式で今井美樹の音楽世界を多角的に提示した、キャリアを網羅しつつも新たな魅力を加味した意欲的なベストアルバムとして位置づけられている。

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