JR貨物DD200形ディーゼル機関車

DD200形ディーゼル機関車

DD200形ディーゼル機関車は、日本貨物鉄道（JR貨物）が2017年から製造している電気式ディーゼル機関車です。この機関車は、非電化区間での貨物列車牽引や、貨物駅構内での入換作業に使用されていたDE10形やDE11形といった液体式ディーゼル機関車の老朽化に伴い、それらを置き換える目的で開発されました。本形式は、JR貨物が所有するだけでなく、京葉臨海鉄道、水島[[臨海鉄道]]、九州旅客鉄道（JR九州）でも導入されており、さらに同型機として衣浦臨海鉄道のKD58形も存在します。

開発の背景と概要

DD200形は、DF200形やEF210形といった既存の機関車の技術を応用して開発されました。これにより、各種搭載機材の共通化を図り、開発コストと維持コストの削減を目指しています。車体構造は、DE10形と同様の前後非対称ボンネット形を採用していますが、メンテナンス上の問題があった3軸台車を廃止し、2軸台車によるB-B形配置に変更することで保守性を向上させています。軸重はDE10形と同等の14.7トン（DE10形は13トン、DE11形は14トン）に設定され、従来DE10形が使用されていたローカル線での運用も可能となっています。最高速度は110km/hに設定されており、ローカル線での多様な用途に対応できます。

駆動方式には、DF200形で実績のあるディーゼル・エレクトリック方式を採用し、保守の容易化を図っています。発電用エンジンには、コマツ製のSAA12V140E-3型ディーゼルエンジン（FDML30Z）が使用されており、主発電機（FDM303）を直結しています。車体内部の構成として、1エンド側には内燃機関、主発電機、主電動機送風機、冷却水熱交換器が、2エンド側には補助電源装置と主変換装置が搭載されています。インバータには、電力変換効率の高いハイブリッドSiC素子が使用されています。制御関係の電機品は三菱電機が担当しています。これらの高効率機器の採用により、従来の機関車と比較して燃料消費量は20.3%、窒素酸化物（NOx）排出量は18.6%、騒音レベルは11dB低減され、環境性能が大幅に向上しました。

運転室内のレイアウトは、DE10形やHD300形と同様に、運転台が横向きに対面式で配置されています。また、入換作業時の誘導担当者の作業性を向上させるため、車端部のステップの大型化や手すりの塗り分けなどの工夫が施されています。

配置と運用

2017年6月29日には、試作機である901号機が新鶴見機関区に配置され、その後、各種試験が行われました。2019年8月には、量産型1号機となるDD200-1が稲沢駅に甲種輸送され、順次DE10形を置き換える形で運用が開始されました。

2022年4月1日現在、愛知機関区には901号機と1号機から23号機までの合計24両が配置されています。

2024年3月16日ダイヤ改正時点での主な運用範囲は以下の通りです。

東北本線・石巻線・仙石線：仙台貨物ターミナル - 小牛田 - 石巻 - 石巻港、盛岡貨物ターミナル駅常駐入換
信越本線：焼島 - 新潟貨物ターミナル
鶴見線・東海道貨物線・南武線・武蔵野線・青梅線：安善 -（単機回送）- 拝島 - 横田基地
新湊線・氷見線・あいの風とやま鉄道線：高岡貨物 - 高岡 - 富山貨物
高山本線・あいの風とやま鉄道線：速星 - 富山貨物
東海道本線（貨物支線）：稲沢 - 名古屋港
東海道本線・関西本線：稲沢 - 四日市
山陽本線・水島[[臨海鉄道]]水島本線・水島[[臨海鉄道]]港東線：岡山貨物ターミナル - 倉敷 - 水島 - 東水島
* 鹿児島本線：北九州貨物ターミナル - 西小倉

これらの路線以外にも、臨時貨物列車などで黒山、越中島貨物、逗子、豊川、徳庵、兵庫などへ入線することがあります。

JR貨物以外での導入

JR貨物では、カーボンニュートラルの観点から、グループ会社である臨海鉄道各社へのDD200形の導入を推進しており、すでに一部で導入が始まっています。また、JR九州でも本形式が導入されています。

水島[[臨海鉄道]]（600番台）

水島[[臨海鉄道]]では、2021年5月に600番台1両が導入され、同年7月から運用を開始しました。同年9月からは、岡山貨物ターミナル駅までのJR線乗り入れ運用にも使用されています。

JR九州（700番台）

JR九州では、2021年6月に700番台1両が導入されました。塗装は同社のDE10形に準じた黒塗装となっており、2022年にはヘッドライトがLEDに換装されています。今後も追加導入される見通しです。

京葉臨海鉄道（800番台）

京葉臨海鉄道では、800番台として「RED MARINE」の愛称で呼ばれる車両が導入されています。

衣浦臨海鉄道（KD58形）

衣浦臨海鉄道では、DD200形の同型機としてKD58形が導入されています。

まとめ

DD200形ディーゼル機関車は、JR貨物を中心に、各鉄道会社で活躍しています。環境性能に優れ、多様な用途に対応できるこの機関車は、今後の鉄道貨物輸送を支える重要な役割を担うことが期待されています。

もう一度検索