Jitsi

Jitsiとは

Jitsiは、オープンソースで開発されている、音声（VoIP）、ビデオ会議、インスタントメッセージングのためのアプリケーション群です。ウェブプラットフォーム、Windows、Linux、macOS、Androidなど、多様な環境で利用できるクロスプラットフォーム対応が特徴です。

Jitsiプロジェクトは、当初SIP Communicatorとして知られていたJitsi Desktopの開発から始まりました。WebRTC技術の普及に伴い、プロジェクトチームはウェブベースの複数人ビデオ会議を実現するJitsi Videobridgeの開発に注力しました。その後、完全なビデオ会議アプリケーションであるJitsi Meetが追加され、ウェブブラウザ、Android、iOSの各クライアントで利用可能になりました。

Jitsiは、Jitsi Meetをmeet.jit.siでホストしており、コミュニティはこれを無料で利用できます。さらに、Jigasi、lib-jitsi-meet、Jidesha、Jitsiといった関連プロジェクトも開発されています。

Jitsiは、NLnet Foundation、ストラスブール大学、アルザス地域圏など、様々な機関から支援を受けており、Google Summer of Codeプログラムにも複数回参加しています。

Jitsiの主なプロジェクト

2020年4月現在、JitsiはGitHubで103個のリポジトリをオープンソースとして公開しています。主要なプロジェクトは以下の通りです。

Jitsi Meet: Debian/Ubuntuサーバーへのインストールが容易なビデオ会議サーバー。
Jitsi Videobridge: 複数人会議を可能にするWebRTCのSelective Forwarding Unitエンジン。
Jigasi: 標準SIPクライアントがJitsi VideobridgeでホストされるJitsi Meet会議に参加できるようにするサーバーサイドアプリケーション。
lib-jitsi-meet: Jitsi Meet向けにカスタマイズされたUIを提供するJavaScript API。
Jidesha: Jitsi Meet用のGoogle Chrome拡張機能。
Jitsi: 音声、ビデオ、チャットによるコミュニケーションを可能にするプログラムで、SIP、XMPP/Jabber、AIM/ICQ、IRCプロトコルをサポート。

Jitsi Meet

Jitsi Meetは、オープンソースのJavaScript WebRTCアプリケーションで、ビデオ会議に利用できます。Android、macOS、Windows、Linuxに対応しており、デスクトップ画面やプレゼンテーションの共有、リンクによる新規参加者の招待が可能です。ブラウザから直接利用することも、専用アプリケーションをダウンロードして利用することもできます。

Jitsi Meetの主な特徴

暗号化通信（セキュア通信）
クライアントソフトウェアのインストール不要

Jitsi Videobridge

Jitsi Videobridgeは、複数ユーザーのビデオ通信を可能にするWebRTCをサポートするビデオ会議プログラムです。Selective Forwarding Unit（SFU）を利用することで、選択されたストリームのみを他の参加者に転送するため、サーバーのCPU負荷を軽減できます。

Jitsi Desktop

Jitsiからは、Jitsi Video Bridge Selective Forwarding Unit（SFU）や、ウェブ会議アプリケーションのJitsi Meetなど、いくつかの関連プロジェクトが生まれました。これらのプロジェクトが広く知られるようになったため、混同を避ける目的で、JitsiクライアントアプリケーションはJitsi Desktopとしてリブランドされました。

当初、IPv6をサポートする実験的なツールとして開発されましたが、その後、多くの開発者が加わり、SIP以外のプロトコルもサポートするようになりました。

機能

Jitsiは、Windows、Linux、macOS、BSDなどのUnix系システムを含む複数のオペレーティングシステムをサポートしています。スマートフォン向けにはiOSとAndroidをサポートしており、iOS向けアプリはApp Storeで、Android向けアプリはGoogle Play StoreおよびF-Droid上でダウンロードできます。

Jitsi Desktopがサポートする主な機能

通話転送（attendedおよびblind）
自動退席
自動再接続
自動応答と自動転送
通話の録音
SRTPとZRTPを利用した通話の暗号化
会議通話
ICEプロトコルを使用した直接メディア接続の確立
デスクトップ画面のストリーミング
マスターパスワードを利用した暗号化パスワードの保存
XMPP、AIM/ICQ、Windows Live Messenger、YIMに対するファイル転送
OTR（エンド・トゥ・エンドの暗号化）を利用したインスタントメッセージの暗号化
SIPおよびXMPPへのIPv6のサポート
TURNプロトコルを利用したメディアのリレー
Message Waiting indication（RFC 3842）
ビデオエンコーディングにH.264およびH.263またはVP8を使用した、SIPおよびXMPPのための音声およびビデオ会話
SILK、G.722、Speex、Opusを使用したWideband audio
SIP INFO、RTP（RFC 2833/RFC 4733）、In-bandを使用したDTMFのサポート
mDNS/DNS-SDによるZeroconf（AppleのBonjourを使用）
DNSSEC
グループビデオ会議のサポート（Jitsi Videobridge）
SILKおよびOpusコーデックを使用したパケットロスの隠蔽