電子書籍リーダー

電子書籍リーダーとは



電子書籍リーダーは、電子書籍を読むための専用端末、または電子書籍データを表示するソフトウェアのことです。電子書籍端末、電子書籍ビューアー、デジタルブックリーダー、eブックリーダー、電子ブックリーダーなどとも呼ばれます。英語ではeReaderという呼称も一般的です。

電子辞書も電子コンテンツを閲覧する専用端末という点で電子書籍リーダーの一種と見なせますが、ここでは主に読書のための端末について解説します。

電子書籍の概要



電子書籍は、紙とインクを使用する従来の印刷物とは異なり、電子機器のディスプレイで読めるデジタルデータです。専用端末（Amazon Kindleなど）や、スマートフォン・タブレット向けの電子書籍ソフトウェアがあります。

電子書籍コンテンツの多くは、既存の紙書籍の情報をデジタル化し、EPUB、PDF、MOBIなどの形式で保存したものです。これにより、印刷、製本、流通のコスト削減や省スペース化が実現できます。コンテンツには無料のものと有料のものがあり、以前は記録メディアで販売されていましたが、インターネットの普及により、ネットワーク経由でのダウンロード販売が主流になりました。また、ハイパーリンク、動画、音声などを組み込んだインタラクティブなコンテンツも作成可能です。

2007年に発売されたKindle 3は、3G通信機能と膨大な蔵書を持つ「Kindleストア」により、米国で利用者が急増しました。アマゾンはクリスマスセールで、Kindleが最も売れた製品であることをアピールし、電子版のコンテンツ売り上げが紙版を凌駕したと発表しました。その後、スマートフォンやタブレット端末でも電子書籍が利用可能になり、アップルやグーグルも独自の配信サービスを立ち上げました。

日本での展開



日本では、フィーチャーフォン向けのケータイ[[小説]]が一時期流行しましたが、出版業界との関係もあり、電子書籍への取り組みは消極的でした。しかし、電子辞書が先に普及しており、一部の機種ではテキストファイルを取り込んで電子書籍のように利用できました。

2009年2月には、カシオ計算機が「XD-GF10000」で文庫本のような縦書き表示を可能にしました。2010年に入ると電子書籍市場は活発化し、NTTドコモ、大日本印刷連合、KDDI、凸版印刷、ソニー連合などがそれぞれ電子書籍に関する提携を発表しました。シャープは電子書籍リーダーとスマートフォン機能を併せ持つGALAPAGOSを、ソニーは電子ペーパーを採用したReaderを発表しました。

電子書籍リーダーの歴史



電子書籍のアイデアは古くからあり、1990年代には専用機器が登場しました。

第一世代：外部メディア利用型



1990年には、ソニーが8cm CD-ROMを使用する「データディスクマン」を発売しました。1993年にはNECがフロッピーディスクを使用した「デジタルブックプレーヤー」を発売しています。これらの初期の機器は、現在のKindleと似た形態でした。

第二世代：コンテンツ内蔵型



2000年前後には、インターネットの普及により、プロジェクト・グーテンベルクや青空文庫などで著作権切れ作品のテキストデータが提供されました。有料コンテンツも登場し、小説だけでなくコミックや雑誌、写真集なども電子書籍化されました。ファイル形式はPDFやEPUBなど、20種類以上存在します。

第三世代：3G通信経由ダウンロード型



Kindleは、3G通信によるダウンロード販売モデルを確立しました。小型で大容量の記憶媒体や省電力化技術により、多数の電子書籍を長時間利用できるようになりました。

利用形態



インターネットからダウンロードして閲覧する



電子書籍ストアからデータをダウンロードして読む方式です。通信量を気にせず、オフライン環境でも利用できるのがメリットです。しかし、データの複製が問題となります。データ形式は、PDF、XMDF、コミックサーフィンなど、多岐にわたります。

ダウンロードストリーミング方式で閲覧する



携帯[[電話]]では、キャリアによってダウンロード方式やストリーミング方式が採用されています。コミックのビューワーは、ベクター形式とラスター形式がありますが、現在はラスター形式が主流です。

著作権保護優先の方式



ダウンロードしたデータを閲覧する際に、インターネット接続が必要な方式です。これにより著作権保護が強化される反面、ユーザーの利便性は損なわれます。

コンテンツ



電子書籍は、書籍出版の一形態と見なされ、コンテンツは多様な種類があります。従来の書籍のカテゴリーに加え、ブログの有料配信や絶版誌の復刻、クイズやパズルなど、紙媒体にはないコンテンツも提供可能です。

価格設定と印税率



米国では、著作者が価格を設定できることが一般的です。Kindleストアでは、著作者は任意の価格を設定し、販売ごとにストアが定めた印税率を受け取れます。紙出版よりも早く印税を回収できるのが特徴です。

その他



既存物の権利



コンテンツの電子化には、既存の契約における権利関係やデータ形式の範囲など、技術面以外の様々な課題が存在します。

著作権切れの無料コンテンツ



著作権切れの書籍をデジタル化して無料提供するプロジェクトもあります。国立国会図書館や大学図書館などが古い書物を電子化していますが、ファイル形式が統一されていないため不便な点もあります。商業的な電子書籍流通網も、これらのコンテンツを自社の形式で提供しています。

新聞や出版業界の動向



世界的に新聞の発行部数は減少しており、出版業界も電子書籍への参入を加速させています。

図書館



公立図書館では、電子書籍の閲覧サービスを試みましたが、需要が少なく中止になったケースもあります。一方で、電子書籍端末による閲覧・貸出サービスを実施している図書館もあります。

課題



著作権保護と可搬性



電子書籍の複製を防止するために、オンライン認証やハードウェアキーなどの仕組みが導入されていますが、ユーザーにとっては購入したコンテンツの利用が制限されるというデメリットがあります。

クラウド化が進むことで、ユーザーは電子書籍流通会社の「書庫」に書籍を保存し、複数端末での読書や、端末が使えなくなった場合にも、他の端末で読めるように改善されています。

デジタルデバイド



すべての人が電子書籍リーダーを持っているわけではないため、情報格差が生じる可能性があります。

出版社・書店の影響



電子書籍が普及すると、出版社や書店が大きな影響を受けると予想されています。日本の大手出版社は、アマゾンなどのネット書店に対抗するために団体を設立する予定です。

日本市場特有の課題



縦書きや日本語特有の組版への対応、漢字OCR技術の向上、外字の表示などが課題として挙げられます。

専用端末の例



発売中のもの




発売終了したもの





電子書籍リーダーは、電子書籍を読むための重要なツールであり、技術の進歩とともに進化を続けています。

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