LAV-25

LAV-25：アメリカ海兵隊の主力軽装甲車

LAV-25（Light Armored Vehicle）は、アメリカ海兵隊が運用する8輪式の水陸両用歩兵戦闘車（IFV）です。スイスのモワク社が開発したピラーニャ装甲車ファミリーをベースに、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ・カナダ（GDLS Canada）によって製造されました。

開発と運用

1980年代、アメリカ海兵隊は部隊の機動力を向上させるため、新型装甲車の導入を計画しました。そこで白羽の矢が立ったのが、ピラーニャ装甲車を基にしたLAVシリーズです。1983年に調達が開始され、アメリカ陸軍も一時的にLAVシリーズを運用しましたが、後にストライカー装甲車を正式採用しました。

LAVシリーズは、1989年のパナマ侵攻を皮切りに、湾岸戦争、コソボ紛争、イラク戦争、アフガニスタン紛争など、アメリカ海兵隊が派遣された数多くの軍事作戦に投入され、その有用性を示しました。

軽装甲偵察大隊には、LAV-25の他、対戦車型のLAV-AT、兵站型のLAV-L、自走迫撃砲型のLAV-M、回収型のLAV-R、指揮通信型のLAV-C2、電子戦型のLAV-MEWSSなど、多様な派生型が配備されています。

アメリカ陸軍は湾岸戦争以降LAV-25シリーズの運用を行っていませんでしたが、2018年10月26日よりアメリカ陸軍第68機甲連隊第4大隊アルファ中隊がLAV-25A2を運用する部隊として再編成され、第82空挺師団第1旅団戦闘団の指揮下に入った事が報じられました。

設計

LAV-25は水陸両用能力を備えており、水上では最大12km/hで航行可能です。ただし、波の穏やかな環境に限られます。陸上では、8輪駆動、4輪駆動に関わらず、最大100km/hの速度を発揮できます。ただし、8輪駆動の場合は燃費が悪化します。

動力源はデトロイトディーゼル製の6V-53Tターボチャージド・ディーゼルエンジンです。操舵は前4輪で行い、駆動方式は全8輪または後4輪を選択できます。

標準装備として、25mm機関砲M242、7.62mm機関銃M240が2丁、4連装発煙弾発射機が2基搭載されています。乗員は車長、操縦士、砲手の3名で、他に6名の兵員と戦闘機材を搭載可能です。

改修

1990年代後半から、SLEP（Service Life Extension Program：延命プログラム）と呼ばれる改修計画が進行中です。改修を受けたLAV-25はLAV-25A1と名称が変更され、更なる発展型であるLAV-25A2の開発も進められました。

初期のアップグレードでは、車内外の装甲強化、火力制圧装備の搭載、サスペンションの改善などが行われました。LAV-25A2では、砲塔旋回機構が油圧式から電動式に変更され、火器管制装置にレーザー測距儀が追加されました。

2019年1月には、第3段階となるLAV-A3仕様への改修プログラムがGDLS社との間で締結されました。この改修では、パワーパックの改修や操縦席パネルのデジタル化などが予定されています。アメリカ海兵隊では、LAV-25シリーズを2035年まで運用する予定です。

バリエーション

LAV-25： 基本型。M242機関砲を装備。
LAV-25A1： SLEP改修を受けた型。
LAV-25A2： 二次改修型。増加装甲、熱線暗視装置、IED起爆妨害装置を搭載。
LAV-25A3： 2021年以降に改修予定。パワーパックの改修、操縦席パネルのデジタル化を実施。
LAV-AT： TOW対戦車ミサイルを搭載した対戦車車両。
LAV-M： M252 81mm 迫撃砲を搭載した自走迫撃砲。
LAV-AD： 25mmガトリング砲とスティンガー地対空ミサイルを搭載した対空装甲車。
LAV-R： クレーンを搭載した装甲回収車型。
LAV-C2： 通信機器を搭載した指揮通信車。
LAV-L： 輸送任務に使用される輸送車両。
LAV-MEWSS： 電子戦車輌。
LAV-EFSS： 開発中のドラゴンファイア120mm自動迫撃砲を搭載する自走迫撃砲。
LAV-105/LAV-AG： 105mm砲を搭載した火力支援型。

登場作品

LAV-25は、その汎用性の高さから、数多くの映画、テレビドラマ、アニメ、ゲームに登場しています。

映画: 『インデペンデンス・デイ』、『宇宙戦争』、『ジェネレーション・キル』、『スペース・インベーダー』、『世界侵略: ロサンゼルス決戦』、『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』、『ランペイジ 巨獣大乱闘|ランペイジ_巨獣大乱闘』
アニメ・漫画: 『OBSOLETE』、『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』、『続・戦国自衛隊』
ゲーム: 『ARMA 2』、『Just Cause』、『Operation Flashpoint: Dragon Rising』、『Wargame Red Dragon』、『バトルフィールドシリーズ』、『マーセナリーズ2 ワールド イン フレームス』、『メタルギアシリーズ』

まとめ

LAV-25は、アメリカ海兵隊の機動力を支える重要な装備であり、長年にわたって様々な戦場で活躍してきました。今後も改修を重ねながら、2035年まで運用される予定です。

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