M22 (天体)

M22 (NGC 6656)

M22は、星座のいて座の領域に広がる、特に目を引く球状星団です。天の黄道からわずか1度ほどしか離れていないため、しばしば惑星がこの星団の前を通過する掩蔽現象が観測される機会があります。

観測のしやすさと見え方

M22は、有名なへびつかい座の球状星団M13に匹敵するほど明るく輝いています。そのため、空が非常に澄んでいるなど観測条件に恵まれれば、肉眼でもその存在を確認することができる数少ない球状星団の一つです。双眼鏡を使用すると、星団は光の丸い集まりとして明るく見えます。

望遠鏡での見え方は、使用する機材の口径によって大きく変わってきます。口径8cm程度の小型望遠鏡でも、その明るさから高倍率をかけて観察すると、星団の周辺部の星々が個々に分離して見え始め、さらに中心部の一部も星として捉えることが可能になります。より密集した中心部の星々をはっきりと分離して観測するためには、口径15cmクラスの望遠鏡が有効です。そして、口径が30cmを超える大型望遠鏡を使えば、星団全体を構成する無数の星々が個々に輝く様子を、圧倒的な迫力とともに詳細に観察することができます。

ただし、M22の視覚的な印象は、観測を行う場所の空の条件（透明度やシーイングなど）に非常に大きく左右される天体としても知られています。条件が良い場所であれば、たとえ小口径の望遠鏡であっても、その密集した星の輝きは非常に見応えのある姿を見せてくれます。

特筆すべき観測結果

近年の天文観測により、この球状星団からはいくつかの特異な発見がなされています。赤外線天文衛星IRASによる観測では、M22の内部から惑星状星雲が見つかっています。これは、球状星団という密度の高い星の集まりの中で惑星状星雲が発見された例としては、M15に続いて史上2番目の記録となりました。

また、1999年の2月から6月にかけての期間には、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測において、この星団を横切る比較的小さな天体（惑星サイズの可能性が示唆されました）によって引き起こされる重力マイクロレンズ効果が捉えられています。このような現象の観測は、星団内に存在する可能性のある暗い天体や、我々が見ている方向の手前にある天体の存在を探る上で重要な手がかりとなります。

観測の歴史

M22は比較的古くから知られていた天体の一つです。エドモンド・ハレーは、1665年8月26日にドイツの天文学者ヨハン・アブラハム・イーレが土星の動きを観測していた際に偶然発見したものであると記録しています。ただし、イギリスの天文学者ウィリアム・ヘンリー・スミスは、1665年よりも前にポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによってすでに発見されていた可能性を示唆する説を提唱したこともありますが、イーレとヘヴェリウスは当時親密に連絡を取り合っていたことから、この説の信憑性は低いと考えられています。ハレー自身は、1716年の著述の中でM22に言及し、「この星団は冬至点に近く、小さくてよく輝く」とその印象を記しています。後の観測者の中には、星団の見かけの形状について議論した例もあり、例えばケネス・グリン・ジョーンズは、眼視観測で捉えられる星団のゆがんだ軸と、写真に写る軸とが異なることを指摘しています。これらの記録は、M22が古くから天文学者の関心を惹きつけてきた対象であったことを物語っています。

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