MAKE UP CITY

アルバム『MAKE UP CITY』の詳細

『MAKE UP CITY』は、日本のフュージョンバンドカシオペアが1980年にリリースした4枚目のアルバムで、彼らにとって初めてアメリカ及びヨーロッパで販売された作品でもあります。このアルバムは、フュージョン音楽の人気が最高潮に達した時期に制作され、ドラマーの神保彰が新たに加入してからの二作目となります。

制作背景

『MAKE UP CITY』は、特にメンバー全員が作曲に関与したことが大きな特徴です。これまでのアルバムでは、主に野呂一生が作曲を担当していましたが、今回の制作中に野呂が入院する事態に直面しました。これにより他のメンバーが急遽それぞれ1曲ずつ作成し、持ち寄る形を取ることになりました。このような状況の中で、向谷実はジョディ・アントンに提供した「Reflections Of You」のインストゥルメンタル・バージョンを手がけました。また、神保は初の作曲に挑戦し、「RIPPLE DANCE」を作成。これは彼にとってメロディーメーカーとしての出発点となりました。

サウンドと技術

このアルバムの録音には、3M社製の32トラックデジタルテープレコーダーが使用されており、日本初のデジタルレコーディングによるアルバムとされています。録音設備はアルファレコードのスタジオに導入され、スケジュールの関係で運用第一号としてこのアルバムが選ばれました。デジタル録音によるサウンドのクリアさは、アルバムの魅力の一部です。後のインタビューにおいて、リーダーの野呂はデジタル録音の「のっぺりした」サウンドに言及し、アナログ処理を加えることでその問題を解決するようになったと述べています。

アルバムタイトルの由来

アルバムのタイトルは、美容用語である「メーキャップ」の概念を元にしており、「街を創りだす」という意味が込められています。また、ジャケットには近未来的な都市のイラストが描かれており、タイトルを意訳すると「街を掃除しろ」となるユニークな側面も持ちます。このタイトルについてメンバーの向谷は、次回作『EYES OF THE MIND』のプロデューサーであるハーヴィー・メイソンから驚かれるエピソードを語っています。

収録曲とメンバー

アルバム内の収録曲の多くは、メンバーによって編曲されました。特に「リフレクションズ・オブ・ユー」は向谷と野呂による共作です。このアルバム全体の演奏はカシオペアのメンバーだけでなく、シンセサイザーのマニピュレーションに松武秀樹が加わり、より華やかなサウンドを生み出しています。

参加メンバーは以下の通りです。

• - 野呂一生：ギター
• - 向谷実：キーボード
• - 櫻井哲夫：ベース
• - 神保彰：ドラム
• - 松武秀樹：シンセサイザー・マニピュレーター

制作に関わった他のスタッフも少なくなく、エグゼクティブ・プロデューサーの川添象郎、プロデューサーの宮住俊介、音響技術者の吉沢典夫などが名を連ねています。

結論

『MAKE UP CITY』は、カシオペアの音楽的進化における重要なステップとして位置づけられる作品であり、彼らがフュージョンバンドとして国際的に名を馳せるきっかけとなりました。多様な曲作りに挑戦し、スタジオ技術の導入においても新たな試みを行い、同アルバムは日本の音楽シーンにおいても記憶に残る重要なアルバムとなっています。

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