Macintosh LC 475

Macintosh LC 475：コンパクトで手頃な価格の Macintosh

Macintosh LC 475は、Appleが1993年10月から1996年7月にかけて設計、製造、販売したパーソナルコンピュータです。日本国外ではMacintosh Quadra 605、Macintosh Performa 475としても販売されました。当時、Appleはターゲット顧客層に応じて製品ブランドを分け、ビジネス向けにはQuadra、教育向けにはLC、家庭向けにはPerformaという戦略をとっていました。

発表当時、LC 475はAppleのMacintoshの中で最も安価なモデルであり、Macintosh LC IIIのピザボックス型デザインを継承し、わずかな変更が加えられました。LC 475は1996年7月まで販売され、直接的な後継機種は存在しません。そのため、LCの軽量スリムラインフォームファクタを採用した最後のMacintoshとなりました。Appleが再び4.5kg未満のデスクトップパソコンをリリースしたのは、約10年後のMac miniまで待つ必要がありました。

モデル

すべてのモデルには、以下の共通仕様が搭載されています。

CPU：25MHz 68LC040
RAM：4MB（オンボード）
VRAM：512KB（最大1MBまで拡張可能）
拡張スロット：LC IIIスタイルのProcessor Direct Slot×1
その他：ADB×1、シリアル（プリンタ）ポート×1、GeoPort（9pin モデム・ポート）x1、外部SCSIポート、手動挿入式フロッピーディスクドライブ

各モデルの主な違いは、以下の通りです。

Macintosh Performa 475：4MB RAM、160MB HDD、キーボードとApple Color Plus 14インチディスプレイが付属。
Macintosh Performa 476：4MB RAM、230MB HDD、キーボードとApple Color Plus 14インチディスプレイが付属。
Macintosh Quadra 605：4MB RAM、80MB HDD、ケースデザインがわずかに異なり、ケースネジがない。日本やヨーロッパでは販売されませんでした。
Macintosh LC 475：4MB RAM、80MB/160MB HDD、キーボードが付属し、オプションでApple Macintoshカラーディスプレイが用意されていました。

ハードウェア

CPU：25MHz MC68LC040、32ビットバス。8KB L1キャッシュ（4KBデータキャッシュ、4KB命令キャッシュ）。LC III PDSカード経由でL2キャッシュを搭載可能。
RAM：ロジックボードに4MB、72ピンSIMMソケット×1（80ns以上の高速SIMMを推奨）。公式には最大36MB（32MB SIMM×1 + 4MBオンボード）をサポートしますが、128MB SIMMを使用することで132MBまで拡張可能です。
ビデオ：DA15Fコネクタ×1。アダプタを使用することでVGAモニターに対応。VRAMスロット×2（256KBまたは512KBのVRAM SIMMを2枚装着可能）。
オーディオ：ステレオ8ビット出力（11kHzまたは22kHz）、ラインレベル入力（ステレオ入力可能だが、モノラル8ビット信号として処理）、内蔵モノラルスピーカー。
フロッピードライブ：1.4MB SuperDrive（手動挿入式）。
ハードドライブ：80MB、160MB、または230MB。
バッテリー：3.6VリチウムハーフAAセル。
電源：30W（一部中古品には45Wのものが含まれます）。
重量：4kg。
* 寸法：高さ8.1cm x 幅31cm x 奥行き38.2cm

拡張性

LC 475は、68030互換のLC III PDSスロットを1基搭載しています。このスロットは以前のLC PDSと物理的に互換性がありますが、実際には68030スロットをエミュレートしています。LC 475のLC III PDSは68030互換ですが、68881や68882 FPUなどの68030プロセッサ用に設計された拡張カードは動作しません。

また、SCSIバスを1基搭載しており、内部に50ピンコネクタ、外部に25ピンDB25Fコネクタがあります。SCSIコントローラはNCR 53C96を使用しており、最大で内部6MB/s、外部4MB/sの速度を実現できます。

システムソフトウェア

LC 475は、漢字Talk 7.1以降、Mac OS 8.1までをサポートしています。PowerPCアップグレードカードを搭載することで、Mac OS 9.1まで利用可能です。システムソフトウェアのバージョンが7.5以前の場合は、System Enabler 065が必要です。

HyperCardスタックを利用できるように、HyperCard 2.2J Liteが付属していました。

その他

一部のLC 475には、PRAMを手動でリセットするためのCudaリセットスイッチが搭載されています。また、ソフトパワーオン機能がないため、キーボードのパワーオンキーで起動することはできません。背面の電源スイッチを使用する必要があります。

LC 475は、そのコンパクトなサイズと手頃な価格で、教育市場を中心に人気を博しました。LCシリーズの最終モデルとして、そのデザインと機能は多くのユーザーに愛されました。

もう一度検索