漢字Talk

漢字Talkは、Appleが1996年まで使用していたClassic Mac OSの日本語版の名称です。これは、翻訳されたアプリケーション、日本語フォント、そして日本語入力システム「ことえり」を統合したもので、日本国内でのみ販売・サポートされました。Macintoshの日本語環境を支えた重要なソフトウェアです。

沿革

開発指示

1985年、Macintosh部門の責任者であったスティーブ・ジョブズの指示のもと、ジェームス比嘉、ケン・クルグラー、Mark Davisらが開発に着手しました。大座畑重光によれば、「Talk」の部分はSmalltalkに由来するとのことです。

漢字Talk 1.0

1986年、System 3.0と共に発表され、当初はMacintosh Plusに搭載されました。このバージョンには、日本語フォントとして「Sapporo」と「Kyoto」が付属し、日本語入力フロントエンドプロセッサとして「2.0変換」が搭載されていました。

漢字Talk 1.1

漢字Talk 2.0

1987年に発売されたMacintosh IIとMacintosh SE向けには、開発が間に合わず、購入者には後日発送されました。System 4.1をベースとしており、日本語フォントとして「Osaka」と「Kyoto」が付属していました。

漢字Talk 6.0

1989年、ベースシステムとFinderのバージョン番号が同期するようになりました。また、カレンダーを正月三が日のいずれかに設定して起動すると、スタートアップ画面に「あけましておめでとうございます」と表示される遊び心も含まれていました。

漢字Talk 6.0.2

漢字Talk 6.0.3

Macintosh IIcxに付属していました。

漢字Talk 6.0.4

英語システムから約2年遅れてMultiFinderに対応し、Macintosh IIci、Macintosh Portableに付属しました。

漢字Talk 6.0.5

Macintosh IIfxに付属しました。

漢字Talk 6.0.7

日本語TrueTypeフォントに対応しました。アップグレード版には日本語HyperCard 2.0 Liteが付属し、アップグレード料金は9000円でした。System 6.0.6をベースとしています。

漢字Talk 6.0.7.1

1991年10月21日、PowerBook 100、140、170に付属しました。System 6.0.7ベースです。

漢字Talk 7 リリース7.1

1992年12月、WorldScript IIに対応したSystem 7.1をベースにリリースされました。インプットメソッドとして新たに「ことえり」が採用され、一般公募で決定された「おにぎり」が愛称として使われていました。画面デザインがカラー化され、ラベル機能など色を生かしたインターフェースが搭載されました。

漢字Talk 7.1.1

PowerBook Duo 210、230に付属しました。

漢字Talk 7.1.2

Power Macintosh 8100、7100、6100、LC-630に付属し、初のPowerPC対応を果たしました。

漢字Talk 7.5

漢字Talk 7.5.1

1995年、Performa 6260、Power Macintosh 6300に付属しました。

漢字Talk 7.5.2

1995年、初代のPower Macintosh 9500、8500、7500、PowerBook 5300、190、Duo 2300に付属しました。ネットワーク周りなど多数の問題を抱えていました。

漢字Talk 7.5 バージョン7.5.3

1996年5月、マイナーアップデートされたPower Macintosh 9500、8500、7500に付属しました。

漢字Talk 7.5 バージョン7.5.3 リリース2

1996年9月3日発表。かつて一部フォントを除いたディスクイメージが無償でダウンロード提供されていました。

漢字Talk 7.5.5

1996年 11月14日発表。

グローバルな名称への統合

System 7.6として発表されていたOSは、リリース時にMacintosh互換機へのライセンスとの兼ね合いから、Mac OS 7.6という名称に変更されました。漢字Talkという日本語版のみの独自名称の使用は7.5.5で終了しました。中国語や韓国語は漢字Talk 7.1と同期のSystem 7.1から対応していましたが、「漢字Talk」の名称は使用せず、最初からSystem 7.1として対応していました。

仕様

漢字Talkでの内部文字コードは、6.0.xまではShift-JISを使用していましたが、7.1からはAppleも策定に協力したUnicodeに移行しました。ただし、採用されている漢字およびフォントはJIS規格に準拠していました。

Sapporo：漢字Talk 1.0に搭載されたゴシック体のビットマップフォント。
Kyoto：漢字Talk 6.0.7.1まで搭載された明朝体のビットマップフォント。
Osaka：Sapporoに代わって搭載されたゴシック体のビットマップフォントで、システムフォントとなりました。漢字Talk 7.1からTrueTypeフォント。
リュウミンL-KL：漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント。ロックがかかっておりアウトラインが取得できません。
中ゴシックBBB：漢字Talk 7.1から搭載されたゴシック体のTrueTypeフォント。ロックがかかっておりアウトラインが取得できません。
平成角ゴシック W5：漢字Talk 7.1から搭載されたゴシック体のTrueTypeフォント。
平成ゴシック体W5：漢字Talk 7.1に標準搭載されたTrueTypeフォント。
平成明朝 W3：漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント。
本明朝-M：漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント。リョービイマジクスの書体「シリウス-M」と同じ。
丸ゴシック-M：漢字Talk 7.1から搭載された丸ゴシック体のTrueTypeフォント。本明朝-Mと同じくリョービイマジクスの書体「シリウス-M」。
欧文TrueType：漢字Talk 7.1から標準搭載されたTrueTypeフォント。BitStream社が提供。

関連項目

Classic Mac OS

参考文献

中原晃司、梶浦正規『マッキントッシュ礼賛』株式会社カットシステム、1997年6月1日。ISBN 4-906391-45-1。
「SuperASCII 1991年4月号」第2巻第4号、株式会社アスキー出版、1991年4月1日。

外部リンク

* The Vintage Mac Museum - ウェイバックマシン（2006年2月24日アーカイブ分）

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