Me 309(Messerschmitt Me 309)について
第二次世界大戦中に
ドイツで開発されたMe 309は、Bf 109の後継機として
1940年に試作指示が出されるも、様々な課題に直面した単発単座レシプロ戦闘機です。
1942年7月に初飛行を果たしたものの、その後の開発は多くの欠点に悩まされました。
デザインと技術的特徴
Me 309は、従来の戦闘機と異なり、前輪式
降着装置を採用した先進的なデザインを持っています。この形式により、地上での安定性を向上させ、前方視界も良好に確保されました。また、
胴体に引き込み式の冷却器を装備し、
航空機の美しいラインを実現しました。主脚の配置にも工夫が施され、主
翼に取り付けることで間隔を広げ、安定した運航を目指しました。
さらに、引き込み式
ラジエーターや
与圧キャビンを導入し、搭載エンジンの性能を最大限に引き出す設計がされています。これによって、飛行性能の向上を図ることができました。しかし、これらの革新も全てが成功したわけではありませんでした。
エンジンと性能
Me 309に搭載が検討されたエンジンには、
ドイツの高性能エンジンDB 603系やDB 605系、Jumo 213系があります。特にDB 603H型では時速860 km以上の速度を実現できる見込みがありました。試作1号機にはDB 605A-1が搭載されています。
武装
ブラットワルの武装については、機体型式により異なる提案がされていました。主に以下の3つのタイプが考案されました。
- - 戦闘機型(Leichter Jäger): 機首上面に13 mm MG 131機関銃×2及びプロペラ軸内に15 mm MG 151機関砲×1を装備。
- - 駆逐機型(Leichter Zerstörer): 機首上面に13 mm MG 131機関銃×2、プロペラ軸内に15 mm MG 151機関砲×1のほか、主翼付け根にも13 mm機関銃×2と15 mm機関砲×2を搭載。
- - 戦闘爆撃機型(Jagdbomber): 同じく機首上面に13 mm MG 131機関銃×2及びプロペラ軸内に15 mm MG 151機関砲×1を装備し、主翼に250 kgの爆弾を2つ搭載。
テストと評価
新技術を導入するために、本機の先行テストとしてBf 109Fを改造した5機での試験が行われました。その結果、さまざまな著しい問題が浮上し、特に地上
滑走時の前輪の不安定さや冷却システムの機能不全が指摘されました。初飛行後、機体の安定性や操縦性の悪さが明らかになり、
舵の重さや
離陸時の
滑走路逸脱が問題視されたのです。
1942年11月に行われた空軍チームによるテストでは、試作機は早くも厳しい評価を受け、Me 309の開発は早々に行き詰まりました。熟練の操縦士でさえ扱いが困難であるとされ、優れた性能を誇るFw 190Dとの比較においてもMe 309はその価値を疑問視される結果となりました。
結論
次第に技術的な課題が明らかになる中で、
1943年3月には計画が中止され、試作機の開発は終わりを迎えました。全体的に、Me 309は当時の革新を試みたものの、開発が短命に終わった一例であり、戦争の流れに影響を与えることはありませんでした。これにより、次の世代の
航空機開発は別の進化を遂げることとなりました。
スペック
- - 全長: 9.46 m
- - 全幅: 11.00 m
- - 全高: 3.45 m
- - 翼面積: 16.55 m²
- - 全備重量: 4,250 kg
- - エンジン: ダイムラー・ベンツ DB 605B (1,475 hp)
- - 最大速度: 733 km/h
- - 実用上限高度: 11,400 m
- - 航続距離: 1,400 km
- - 武装: 30 mm MK 103 機関砲×1、20 mm MG151/20機関砲×2、13 mm MG 131 機関銃×2
- - 乗員: 1名