P-2J (航空機)

P-2J対潜哨戒機の概要

P-2J（ピーにジェイ）は、海上自衛隊によって運用されていた対潜哨戒機であり、その起源はロッキード社のP2V-7にさかのぼります。この機体は、元の設計を基に拡張が施され、エンジンの改良や、搭載システムが進化してP-3Aと同レベルへ達しました。海上自衛隊はP-2Jを「潜水艦の性能向上の時代において不滅の足跡を刻んだ栄光の機体」と評しています。

来歴

海上自衛隊は1956年にP2V-7を取得し、48機が川崎重工業によってライセンス生産されました。これにより、固定翼対潜部隊の主力を形成しました。しかし、当時の潜水艦技術の進化に合わせて水中捜索能力の不足が懸念されるようになり、居住性の改善も求められました。1961年には次期対潜機を検討し始め、P-2Jの開発がスタート。

1964年にはアメリカの技術協力を得て、改造費用が承認されました。改造の結果、1966年にP2V-7改として完成し、以降は海上自衛隊の任務での運用が始まりました。

設計

P-2Jは川崎重工のPXL-7案を基に設計されました。機体は全長約1.27メートル延長され、戦術航空士用の席が追加されました。また、電子機器の性能維持と搭乗員の居住性向上のため、空調装置も搭載され、冷蔵庫も設置されました。操縦系では、方向舵の変更やスプリングタブの追加により操縦性が向上し、飛行の安定性も確保されました。

動力系統

P-2Jではターボプロップエンジンが導入され、従来のレシプロエンジンの代わりによって軽量化が図られました。主エンジンとしてゼネラル・エレクトリック T64が採用され、優れた燃費性能を誇りました。プロペラもエンジンの強化に応じて変更され、全体の運航能力が高まりました。

装備

機体はP2V-7を基にしつつ、最新の対潜装備が搭載されました。特に水中捜索能力の向上と、戦術情報処理に重点が置かれ、ジェジベル戦術を活用した新型装置も搭載されました。これにより、潜水艦の探知能力が飛躍的に向上しました。

諸元と性能

P-2Jは12名の乗員を乗せ、全長29.26メートル、最大離陸重量は34,000キログラム、最大速度は556 km/hに達します。これにより、航続距離は約3,000キロメートルです。

運用史

P-2Jは1967年から運用が開始され、最終的に82機が整備されました。1986年には運用が終わり、後継機のP-3Cが導入されました。P-2Jは多くの任務を果たし、1984年までに総飛行時間61万7,861時間を記録しました。運航中の事故はなく、全機無事に任務を全うしました。

派生型

P-2Jから転用されたUP-2J多用途機への改造も行われ、艦艇支援や電子戦データ収集に活用されました。これにより多様な任務に対応可能となりました。

結論

P-2Jは、海上自衛隊の対潜作戦に重要な役割を果たした機体であり、多くの改良を経て運用されました。その高い性能と多用途性は、海上自衛隊の歴史において特筆すべきものであり、数々の任務に対して重要な存在であったことは間違いありません。

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