PND

ポータブルナビゲーションデバイス（PND）とは

ポータブルナビゲーションデバイス（PND）、またはポータブルナビとは、薄型の液晶モニタとフラッシュメモリに地図データを記録した、持ち運び可能なカーナビゲーションシステムです。据え置き型カーナビに比べて小型軽量で、自動車への取り付け・取り外しが容易な点が大きな特徴です。海外では、車上荒らし対策として取り外し可能なPNDが普及しましたが、車内に放置すると盗難のリスクも高まります。

自動車だけでなく、オートバイや自転車、さらにはハイキングなどの歩行時にも利用できます。ただし、内蔵バッテリーの容量が小さいため、長時間の利用にはモバイルバッテリーが必要となる場合があります。

機能

PNDの基本的なナビゲーション機能は、据え置き型カーナビと同様に、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を特定し、地磁気センサーで方位を検出、内蔵地図を表示します。製品によっては、加速度センサーやジャイロセンサーを搭載し、より細かい動きを感知したり、FM多重放送のVICSを受信して交通情報を表示したりする機能もあります。

さらに、外部ケーブルやメモリーカードを介して音楽、動画、写真の再生や、パソコンとのデータ交換も可能です。日本や韓国向けの製品では、ワンセグ/フルセグなどのテレビ放送を受信できるものもありますが、ラジオチューナーは搭載されていない機種が多いです。

本体

多くのPNDは文庫本程度のサイズで、液晶ディスプレイ、GPSアンテナ、スピーカー、充電式バッテリーを内蔵しています。電源は、内蔵バッテリーのほか、自動車や家庭用電源からも供給できます。また、USB端子やメモリーカードスロットを備え、ファームウェアや地図データの更新が可能です。

車載用キットの他に、オートバイ専用の取り付けキットもあります。操作はタッチパネルが主流で、物理ボタンは電源スイッチのみという機種もあります。車体への取り付けは、専用スタンドを使い、ネジ、両面テープ、吸盤などで固定します。

OSには、Linuxベースの独自OSや、Microsoft Windows CEなどが採用されています。ナビゲーションソフトは、据え置き型に比べて機能が限定される場合もありますが、車載以外の利用を考慮した、徒歩モードなどの専用モードを備えた機種もあります。

日本市場の動向

日本のカーナビメーカーは、PNDが据え置き型カーナビの市場を脅かす可能性や、日本市場での受け入れの不確実性から、PNDの開発に消極的でした。

しかし、2006年にオリヂナル工芸が「迷WAN」を発売し、その後三洋電機が「ミニゴリラ」で参入したことで、PND市場が本格的に始まりました。CD-ROMやDVD方式に比べ小型軽量で、地図データの入れ替えが不要な点が人気を集め、ソニーも参入するなど市場は拡大しました。2008年には、日本国内のカーナビ販売台数の約43%がPNDでした。

PNDは、従来のカー用品店だけでなく、家電量販店やホームセンターでも販売され、携帯情報端末メーカーの参入も促しました。観光用途など新たな需要も開拓されましたが、価格競争の激化やスマートフォンの普及により、2012年にはソニーが撤退するなど、市場は縮小傾向にあります。

今後は、地図更新が不要で、交通情報に基づいた経路変更が自動で行えるスマートフォンアプリに取って代わられると予想されています。

日本以外の市場

中国、台湾、韓国などのOEM/EMSメーカーが製造した機器を、自社ブランドで販売するメーカーも多く、ヨーロッパではオランダのTomTom社が大きなシェアを持っています。

主なPNDメーカー

パナソニック
三洋電機（現在はパナソニックにブランドが引き継がれています）
パイオニア
富士通テン
クラリオン
ナビタイムジャパン
ヒューレット・パッカード
ユピテル（2021年以降、新製品なし）
ツインバード工業
ガーミン
スペース・マシン
Mio Technology
TomTom
エディア
オリヂナル工芸
データウエスト
トライウイン
ヒュンダイモービス

かつて市販機を製造販売していたメーカー

ソニー (2012年に撤退)

関連項目

携帯情報端末
* グローバル・ポジショニング・システムによる死

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