Pentium Dual-Core

Pentium Dual-Core (ペンティアム・デュアルコア) とは

Pentium Dual-Coreは、2007年6月にインテルが発表したx86アーキテクチャのマイクロプロセッサです。このプロセッサは、インテルの主力ブランドであるPentiumの名を冠していますが、実際にはCoreマイクロアーキテクチャをベースとしています。発表当初は、Core 2ブランドへの移行を促すために、PentiumブランドをCore 2の下位製品として位置づけました。

概要

Pentium Dual-Coreは、Coreマイクロアーキテクチャを初めて採用したPentiumブランドの製品です。インテルは当初、Pentiumブランドの廃止を計画していましたが、Pentiumブランドの人気が根強かったため、Core 2ブランドの下位製品として再導入しました。このため、Pentium Dual-CoreはPentium Dという、過去のデュアルコア製品と混同されることもあります。Pentium DはNetBurstマイクロアーキテクチャを採用しており、Pentium Dual-Coreとは異なるものです。

また、Pentium Dual-Coreは、発表時にプロセッサナンバーのパワークラスが"E"と予告されていたことから、便宜的に"Pentium E"とも呼ばれていました。当初はデスクトップ向けの"E"シリーズのみでしたが、後にモバイル向けの"T"シリーズも登場しました。2010年には、Westmereマイクロアーキテクチャを採用したPentium G6950の登場とともに、Dual-Coreの表記がなくなり、単に「Pentium」となりました。

特徴

Pentium Dual-Coreは、Core 2 Duoの廉価版として位置づけられており、基本的な機能は同等です。しかし、L2キャッシュの容量が削減されているほか、ハイエンドのCore 2 Duoが搭載するストリーミングSIMD拡張命令の一部が無効化されています。ただし、E6300以降のプロセッサでは、仮想化支援機能であるIntel VTが有効になりました。

また、下位製品であるCeleron Dual-Coreとの差別化も図られています。デスクトップ向けCeleron Dual-Core E1000系のL2キャッシュ容量は、Pentium Dual-Core E2000系の半分である512KBです。モバイル向けCeleron Dual-Coreでは、省電力機能であるEISTが無効化されています。Pentiumブランドは、かつてはハイエンドからメインストリームをカバーしていましたが、現在ではCoreブランドがその地位を担い、Pentium Dual-CoreはローエンドのCeleronブランドとCoreブランドの中間に位置づけられています。

デスクトップ向けラインナップ

Core世代

Allendale:
65nmプロセスルールで製造された第一世代Pentium Dual-Core。
Core 2 Duo E4000系のL2キャッシュ容量を半分にした1MB。
対応ソケット: LGA775

Wolfdale:
45nmプロセスルールで製造された第二世代Pentium Dual-Core。
L2キャッシュ容量がE2000系の2倍の2MB。
45nm世代のCore 2 Duoと同じWolfdaleコア。
SSE4命令セットは非対応。
E5300の一部とE5400の一部、そしてE5500以上のプロセッサでIntel VTが有効。
対応ソケット: LGA775

モバイル向けラインナップ

Pentium M世代

製品名: Pentium Dual-Core Mobile Processor
省電力モードでは800MHzで動作。

Yonah:
Intel 64は無効化されているが、VTに対応。
プロセスルール: 65 nm
プロセシング・ダイ・サイズ: 90 mm2
トランジスタ数: 1億5100万個
MMX, SSE, SSE2, SSE3, SSSE3, XD bit
拡張版 Intel SpeedStep テクノロジー
ソケット: Socket M

Core世代

トランジスタ数とダイサイズが増大し、TDPが若干上昇。
ソケットが変更され、製品名からDual-Coreが外れ「Intel Pentium」となる。

Merom:
プロセスルール: 65 nm
プロセシング・ダイ・サイズ: 143 mm2
トランジスタ数: 2億9100万個
MMX, SSE, SSE2, SSE3, SSSE3, Intel 64, XD bit
ソケット: Socket P (PPGA 478)

Penryn:
リソグラフィは45nm、FSBは800 MHzに。
この世代まではIntel TXTに非対応。
プロセスルール: 45 nm
プロセシング・ダイ・サイズ: 107 mm2
トランジスタ数: 4億1000万個
MMX, SSE, SSE2, SSE3, SSSE3, Intel 64, XD bit
ソケット: Socket P (µFC-BGA 956 はオンボード)

脚注

Pentium Dual-Coreは、そのコストパフォーマンスの高さから、幅広いユーザーに利用されました。その登場は、インテルのCPU戦略における重要な転換点となりました。

関連項目

Intel Core
Intel Core 2
Intel Celeron

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