SH-5 (航空機)

SH-5（水轟五型）

SH-5（水轟五型、Shui Hong - 5）は、中華人民共和国のハルビン飛機工業集団が開発した対潜哨戒機として知られる大型飛行艇です。この機体は中国人民解放軍海軍にて運用されており、海外ではPS-5という名称でも知られています。興味深いことに、SH-5は番号こそH-5（轟炸五型）と同じですが、イリューシンIl-28から派生した双発ジェット機とは異なる設計を持ちます。

概要

「水轟」は、「水上轟炸機」の略称であり、この機体は主に対潜哨戒や攻撃、さらには救難、輸送といった多目的な運用を目的としています。SH-5はターボプロップエンジンを搭載した4発機であり、海上作戦に特化した設計となっています。

開発・運用

SH-5の開発は1960年代末から1970年代初頭にかけて始まり、1973年末には原型機が完成しました。そして、1976年4月3日には初飛行を果たします。1984年から本格的な生産が行われ、1986年には実戦部隊への配備が始まりました。しかし、製造数は限られており、試作機も含めて約7機程度しか生産されなかったとされています。現時点では、5機が現役で運用されていると推測されています。これらは、北海艦隊に配備されているほか、1機は北京近郊の中国空軍航空博物館で展示されています。

構造

SH-5は典型的な大型飛行艇の設計を有しており、高翼配置の主翼を持っています。主翼の端には補助フロートがついており、優れた水上性能を確保しています。また、舟体のデザインは日本のUS-1やPS-1飛行艇からの影響を受けていると考えられ、胴体前部に消波装置が取り付けられています。機体の前部はソ連のBe-12と似通っています。

主翼のデザインは運輸八型輸送機に非常に似ており、エンジンやエンジンナセルはその流用と見られる部分も多いです。尾翼は水平尾翼に双垂直尾翼を持つ形状で、Be-12やBe-6に似ています。

SH-5は、格納式の車輪を持っていますが、これは主に水上からの揚陸や陸上での移動用で、実際には水上での離着水のみを行うことができます。また、尾部には対潜装備が搭載されており、MADブームとソノブイの収容庫が設けられています。

乗員は5名で、対潜機器要員3名が搭乗可能です。さらに、3～4名の同乗者を収容できる座席も設けられています。貨物や担架を搭載することもできるため、救難活動や輸送任務にも対応可能です。主翼下には外部兵装を搭載するためのハードポイントがあり、様々な兵器を積むことができます。そのうちの一つ、23-I型23mm連装機関砲が小型砲塔として搭載されています。

SH-5の導入当初は、翼下に対艦ミサイルの搭載試験が行われたが、実際に配備された例は確認されておらず、対艦能力の定義には限界があります。

派生型

• - SH-5: 生産型。
• - SH-5A: ELINT機への改造型。
• - SH-5B: 消防機への改造型。

主要寸法

• - 全長: 38.9m
• - 全幅: 36.0m
• - 全高: 9.8m
• - 自重: 26.5t
• - 機関: 哈爾浜 渦槳5甲C ターボプロップエンジン（3,150軸馬力）4基
• - 乗員: 8名
• - 最大速度: 556km/h
• - 武装: 23-I 23mm連装機関砲 1基、魚雷・機雷、爆弾等最大6t

事件・事故

2013年5月30日には、青島市近郊の海域で訓練中のSH-5が墜落したという報告があります。

関連情報

• - 外部リンク: globalsecurity.org

このように、SH-5は中国における先進的な対潜哨戒機としての役割を果たしており、様々な任務に対応できる機体として現在も運用されています。

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