SS (漫画)

東本昌平の漫画作品『SS』とは

『SS』（エスエス）は、東本昌平による漫画作品であり、後に実写映画化もされた作品です。「SS」とは、「スペシャルステージ」の略称。

小学館の漫画雑誌『ビッグコミックスペリオール』にて、2000年から2003年まで連載され、単行本は全9巻が刊行されています。

概要

主人公である自動車整備工の大佛（ダイブツ）と、かつての相棒である自動車評論家の栗原を中心に、車を通じて夢を追いかける姿を描いています。周囲の大人たちの忘れていた感情を呼び覚ます様子も描かれており、中年男性たちの葛藤や再生がテーマとなっています。

東本昌平の作品としては珍しく四輪自動車を題材としており、二輪車は自転車やミニバイク程度しか登場しません。また、東本作品の中で最も早く実写化された作品でもあります。実写映画版では、原作とは異なる部分も存在します。

作中には、自動車の描写や登場人物の回顧録が細部に渡って描かれており、世界ラリー選手権 (WRC) の歴史や解説が登場するエピソードもあります。特に6巻以降では、専門用語や詳細な説明が多用されています。

原作では、登場車種のエクステリアに誤りが見られることもあります（例：給油口の位置が左右で異なるなど）。特に三菱・スタリオン4WDについては、初期は東京モーターショー展示車がモデルでしたが、後に岡崎工場展示車に変更されています（ホイールは4巻から岡崎工場仕様）。

物語の舞台設定は1980年代も含まれており、作中には「ルビーの指環」や「い・け・な・いルージュマジック」、「ギザギザハートの子守唄」といった当時のヒット曲が登場し、時代背景を反映しています。

映画公開前には、北海道で開催された2007年WRCラリー・ジャパンでプロモーション活動が行われました。主演の哀川翔は、この作品がきっかけでラリードライバーとしての活動を開始し、2008年と2010年の同大会に参戦しています。

あらすじ

自動車整備工のダイブツは、かつて学生ラリードライバーとして活躍していましたが、全日本ラリーでの事故や妻の妊娠を機に、その道を断念しました。

平凡な日々を送っていたダイブツですが、妻の実家でダカール・[[ラリー]]（パリダカ）を見たことがきっかけで、ラリーへの情熱が再燃します。社長の冗談から、工場に眠っていた三菱・スタリオン4WDラリーを譲り受け、峠や首都高速道路で走り屋として活動を始めます。

その正体不明のマシンは、峠の走り屋たちの間で「ジャッキー」と呼ばれるようになり、ダイブツの元相棒である自動車評論家の栗原の耳にも届き、彼もまた巻き込まれていきます。

舞台

物語の主な舞台は峠であり、作中には箱根ターンパイクの看板が登場します。首都高速道路や湾岸道路も時折登場しますが、実写版ではこれらの道路は登場しません。

主要な登場人物

大佛（ダイブツ）：主人公。自動車整備工で、かつてはラリードライバーを目指していた。スタリオン4WDを入手し、再び走り始める。
栗原：自動車評論家。ダイブツの元相棒で、かつてはラリーのコ・ドライバーを務めていた。ダイブツの情熱に触発され、自身も走り出す。
山崎：ダイブツの同僚。自動車整備工で、ダイブツとは高校時代からの親友。ダイブツの心情を理解しようと努める。
西山：ダイブツと山崎が勤務する西山モータースの社長。ダイブツの才能を高く評価しており、彼を応援する。
カブキ：ランサーエボリューションVIに乗る若者。ダイブツに憧れ、走り屋として成長していく。
ギラ子：インプレッサSTiType-Rに乗る歯科助手。勝気な性格で、峠の走り屋として名を馳せている。
アンキモ：レガシィ ツーリングワゴンGTに乗る若者。カブキの幼馴染で、いつも行動を共にしている。
久美子：ダイブツの妻。かつてはダイブツと栗原の間で揺れ動いていたが、最終的にダイブツを選んだ。夫の夢を応援する。
志村：様々な高級外車を乗り継ぐ歯科医院の経営者。かつては「ニコヨン通りの赤いイナズマ」と呼ばれていた。
ブンブク：R32スカイラインGT-Rに乗るチューニングショップの経営者。独自のチューニングシステムを開発するが、経営難に陥る。

実写映画版

2008年1月12日に公開された実写映画版では、哀川翔がダイブツを演じ、遠藤憲一が栗原を演じるなど、豪華キャストが出演しています。映画版では、原作とは異なるオリジナルストーリーが展開されます。

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