STS-115

STS-115：国際宇宙ステーション組み立て再開ミッション

STS-115は、スペースシャトルアトランティスによって行われた、国際宇宙ステーション（ISS）の組み立てを再開するための重要なミッションでした。このミッションは、ISSプログラムにおけるISS-12Aフライトとしても知られています。

ミッションの目的

STS-115の主要な目的は、ISSにP3/P4トラスを取り付けることでした。このトラスは、将来打ち上げられる「きぼう」などのISSの構成要素に電力を供給するために不可欠な役割を果たします。P3/P4トラスには、太陽電池パドルとバッテリーが搭載されており、ISSの電力供給能力を大幅に向上させるものでした。

ミッションの経緯

当初、STS-115は2003年4月に飛行する予定でしたが、2003年1月のコロンビア号事故の影響により、飛行計画は事故原因の究明と対策が完了するまで延期されました。NASAはその後、STS-114とSTS-121の2回のテスト飛行を実施し、同様の事故を防ぐための対策が機能することを確認しました。

万が一、救助ミッションが必要になった場合に備え、STS-301がディスカバリーによって11月11日以降に実施される予定でした。

搭乗員

ブレント・ジェット (4)：コマンダー
クリストファー・ファーガソン (1)：操縦士
ジョセフ・タナー (4)：ミッション・スペシャリスト
ダニエル・バーバンク (2)：ミッション・スペシャリスト
ハイディマリー・ステファニション＝パイパー (1)：ミッション・スペシャリスト
スティーブ・マクレーン (2)：ミッション・スペシャリスト（カナダ宇宙庁）

ミッションのハイライト

P3/P4トラスの設置: ミッションの最大の焦点は、2つ目の左舷トラスセグメントであるP3/P4トラスをISSに取り付けることでした。このトラスには、2つの太陽電池パドルとバッテリーが搭載されていました。
カナダアーム2の利用: カナダ宇宙庁のマクレーン宇宙飛行士は、ISSのカナダアーム2を初めて使用したカナダ人となりました。
船外活動: 4人の宇宙飛行士によって3回の船外活動が行われました。これらの活動では、P3/P4トラスの設置、太陽電池パドルの展開、その他のISSのメンテナンス作業が行われました。
新しいプリブリーズ手順: この飛行では、新しいベンズ（減圧症）を予防するための新しいプリブリーズ手順が採用されました。この「キャンプアウト」と呼ばれる方法は、船外活動を行う宇宙飛行士が、前日の晩に10.2psi（約0.7気圧）に減圧された「クエスト」エアロック内で睡眠をとることで、プリブリーズ時間を短縮するものでした。

ミッションの経過

9月9日: 15時15分（UTC）、ケネディ宇宙センターから打ち上げ。
度重なる延期：落雷やハリケーン接近などの影響で4回にわたり延期された末、打ち上げウィンドウぎりぎりでの打ち上げとなりました。
9月11日: 10時48分、ISSとのドッキングに成功。
9月12日: 第一回の船外活動（ISSへのトラス取り付けの準備）。
9月13日: 第二回の船外活動（トラスの取り付けがほぼ完了）。
9月15日: 第三回の船外活動（ラジエーターの展開、実験装置の回収など）。
9月17日: ISSとのドッキングを解除。
9月19日: 20日に予定していた着陸を1日延期。
帰還に向けての確認作業中に、シャトルの付近に正体不明の小さな物体が浮遊しているのが発見されました。重要部品が脱落した可能性もあったため、地球への帰還を延期して追加検査を行うことになりました。浮遊物は機体に付着していた氷などの重要でない物体と推定されましたが、結局正体は断定できませんでした。いずれにしても検査で機体に異常は発見されず、21日に帰還することになりました。
9月21日: 10時21分、ケネディ宇宙センターに帰還。

その他の出来事

帰還後に行われた歓迎式典で、ハイディマリー・ステファニション＝パイパー宇宙飛行士が挨拶を行う際に2度倒れるという事がありました。これは、無重力状態からの適応障害などが原因だと考えられています。

もう一度検索