STS-128

STS-128ミッション：国際宇宙ステーションの拡充と科学実験の推進

STS-128は、2009年8月にスペースシャトル・ディスカバリーによって行われた国際宇宙ステーション（ISS）組み立てミッション（17A）です。このミッションは、ISSの組立・補給フライトとして30回目の飛行であり、ISSの機能拡充と科学実験の推進に大きく貢献しました。

ミッションの目的と内容

STS-128の主な目的は、多目的補給モジュール（MPLM）レオナルドを使用して、ISSへの機材搬入と物資補給を行うことでした。これにより、ソユーズTMA-15から6人体制となったISSの居住設備が拡充されました。具体的には、2台目の空気浄化装置、冷凍冷蔵庫(MELFI-2)、2台の国際標準実験ラック、そして日本の「きぼう」モジュールに仮設置されるクルー用個室など、合計6.5トン以上の物資がMPLMに搭載され、ISSに届けられました。また、クルーの運動用トレッドミル「C.O.L.B.E.R.T」の2台目も搬入されました。

さらに、STS-128では3回の船外活動が実施されました。これらの船外活動では、STS-122でコロンバス外部に設置されていた欧州技術曝露実験装置（EuTEF）と、材料曝露実験装置(MISSE-6)の回収、そして老朽化したP1トラスのアンモニアタンクの交換が行われました。

このミッションは、スペースシャトルによる最後のISS長期滞在クルーの交代も兼ねていました。ニコール・ストット宇宙飛行士が出発する第20次長期滞在クルーとしてISSに滞在し、ティモシー・コプラ宇宙飛行士が帰還する第20次長期滞在クルーとして地球に帰還しました。

打ち上げと着陸

ディスカバリーの打ち上げは今回で37回目、スペースシャトル全体としては128回目の打ち上げとなりました。当初は8月25日に打ち上げが予定されていましたが、悪天候とオービタ側の液体水素充填排出バルブ（FDV）の問題により延期されました。

ディスカバリーは、アメリカ東部夏時間9月11日20時53分（日本時間9月12日9時53分）に、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に無事着陸しました。当初の予定ではケネディ宇宙センターに着陸する予定でしたが、天候不良のため、エドワーズ空軍基地への着陸となりました。

着陸前日の日本時間9月11日2時1分には、宇宙航空研究開発機構（JAXA）によって鹿児島県種子島宇宙センターから宇宙ステーション補給機（HTV）技術実証機（初号機）が打ち上げられました。これにより、約1日弱の間、ISS軌道上をISS、スペースシャトル、HTVが同時飛行するという珍しい状態となりました（ただし、ドッキングやランデブーは行っていません）。

乗組員

STS-128には以下の宇宙飛行士が搭乗しました。

フレドリック・スターカウ(4)— 船長
ケビン・フォード(1)— パイロット
パトリック・フォレスター(3)— ミッションスペシャリスト
ホセ・モレノ・ヘルナンデス(1)— ミッションスペシャリスト
クリステル・フォーグレサング(2)— ミッションスペシャリスト
ジョン・オリバース(2)— ミッションスペシャリスト
ニコール・ストット(1)— ミッションスペシャリスト（出発する第20次長期滞在員）
ティモシー・コプラ(1)— ミッションスペシャリスト（帰還する第20次長期滞在員）

STS-128の意義

STS-128ミッションは、ISSの長期的な運用と科学研究活動の継続に不可欠な役割を果たしました。居住空間の拡大、実験設備の増強、そして重要な物資の補給を通じて、ISSの能力を向上させ、宇宙における人類の活動範囲を広げることに貢献したと言えるでしょう。

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