SUSE Linux Enterprise Desktop (SLED) は、
SUSEが提供するビジネス市場向けの
Linuxディストリビューションです。以前はNovell
Linux Desktopという名前で提供されていました。SLEDは主にデスクトップ環境での利用を想定しており、その安定性と信頼性が特徴です。メジャーバージョンは24〜36ヶ月ごと、マイナーバージョン(サービスパック)は9〜12ヶ月ごとにリリースされます。SLEDを含む
SUSE Linux Enterprise製品は、open
SUSEコミュニティ製品よりも厳格なテストを経ており、成熟した安定版のコンポーネントのみが含まれるように設計されています。
現在の最新バージョンは12で、
SUSE Linux Enterprise Serverなどの他の
SUSE Linux Enterprise製品と同じコードベースから開発されています。SLEDには、Evolution 2.6やその他の有名なオープンソースパッケージに加え、Adobe AcrobatやRealPlayerなどの
プロプライエタリソフトウェアも含まれています。
歴史
Novell Linux Desktop 9
Novell
Linux Desktop (NLD) 9には複数のサービスパックがリリースされました。SP1は2005年2月11日にリリースされ、多くのアップデートが含まれていました。続くSP2は2005年8月9日にリリースされ、2004年8月以降のアップデートと
バグフィックスが全て含まれていました。SP3は2005年12月22日にリリースされました。
ベーシックオフィスワーカーへの注力
デスクトップ
Linuxは、支持者にとって重要なコミュニティを形成していましたが、ビジネス界では必ずしも広く採用されていませんでした。多くのディストリビューションベンダーは
Linuxの
サーバーサイドに注力しており、デスクトップ
Linuxは技術
ワークステーションや特定用途のシステムに利用が限られていました。
SLED 10では、Novellはベーシックオフィスワーカーのニーズを満たすことに焦点を当て、SLEDを
Microsoft Windowsの競合製品として位置づけることで、より幅広い企業ユーザーをターゲットにしました。ここでいうベーシックオフィスワーカーとは、
オフィススイート、コラボレーションクライアント、Webブラウザ、
インスタントメッセージなどの基本的なデスクトップ機能を必要とするユーザーを指します。Novellは、これらのコンポーネントがMicrosoft Officeデータファイル、
Active Directory、GroupWiseまたは
Microsoft Exchange Serverなどの既存のエンタープライズインフラとスムーズに連携できるように注力しました。
SLED 10には、
Mac OS X v10.4のSpotlightに似たBeagleデスクトップ検索ツールが含まれていました。
Xglと
Compizのサポートにより、「アプリケーションタイリング」(Exposéに類似)などの高度なグラフィック効果をユーザーインターフェースに適用できるようになりました。さらに、
デジタルカメラの接続やHelix
Bansheeを使用した
MP3オーディオファイルの再生も容易になりました。
革新
SUSE Linux Enterprise DesktopにおけるNovellの取り組みは、
Linuxデスクトップにいくつかの新しいオープンソース機能をもたらしました。
デスクトップ効果
Xglと
Compizを基盤とするデスクトップ効果は、「アプリケーションタイリング」や、デスクトップをインタラクティブに切り替える回転する立方体など、高度なグラフィック効果をユーザーインターフェースに提供しました。
デスクトップ検索
SLED 10には、Beagleプロジェクトに基づいて構築されたデスクトップ検索機能が含まれています。
Michael Meeksが率いるNovellの
OpenOffice.orgチームは、
Microsoft ExcelドキュメントのVBAマクロのサポートを強化し、「データパイロット」と呼ばれる新しいスプレッドシート機能を開発しました。
デバイスおよびアプリケーションサポート
SLED 10には、
デジタルカメラやiPodをコンピュータに接続する機能を備えており、接続時に適切なアプリケーションが自動的に起動します。
合法的なMP3エンコーディング
リアルネットワークスとの提携により、NovellはHelix
Bansheeを使用して合法的な
MP3エンコーディング(リッピング)を提供しました。
評価
Novellは、非常に洗練された成熟した機能的な
Linuxデスクトップである
SUSE Linux Enterprise Desktopを開発したとして、広く称賛されました。2006年の
サンフランシスコLinuxWorld Expoでは、
SUSE Linux Enterprise DesktopがBest of ShowとBest Desktop Solutionの両方を受賞しました。さらに、InfoWorldから2007年1月にTechnology of the Year awardの「Best
Linux Desktop」賞が贈られました。
関連人物
SUSE Linux Enterprise Desktop 10の開発におけるNovellの取り組みは、
Ximianの創設者の一人である
ナット・フリードマンが主導しました。製品マネージャーのガイ・ルナルディと技術マネージャーのケリー・フレームが支援し、
Ximianと
SUSEの開発者たちがチームを構成しました。
派生
パートナーシップ
ヒューレット・パッカードは、自社ブランドと
コンパックブランドの両方でSLED 11をプリインストールしたノートブックを提供しました。Micro-Star Internationalは、SLED 10がプリインストールされたMSI Wind Netbookを提供しました。
サン・マイクロシステムズは以前、SLEDをJava Desktop Systemの
Linuxバージョンの基盤として採用していました。
脚注
参考文献
Eckert, Jason (2007). SUSE Linux Enterprise Desktop Administration. Course Technology. ISBN 978-1-4283-2227-1
Habraken, Joe (2005). Novell
Linux Desktop 9 Administrator's Handbook. Novell Press.
ISBN 978-0-672-32790-2
Dulaney, Emmett (2005). Novell Linux Desktop 9 User's Handbook. Novell Press. ISBN 978-0-672-32729-2
外部リンク
SUSE Linux Enterprise Desktop product page
SUSE Linux Enterprise Desktop cool solutions
Linux+to+cut+costs+boost+tech/2100-1016_3-6195295.html'>Example story of SLED 10 use in an educational environment
Interview with Novell's Ted Haeger on NLD
News about the next Novell Linux Desktop
Novell aims rebranded SUSE Linux 10 at enterprise desktops
関連項目
Linux on z Systems
Linuxディストリビューション
Linuxディストリビューションの比較
* United
Linux