S/2015 (136472) 1

S/2015 (136472) 1：準惑星マケマケの唯一の衛星

S/2015 (136472) 1は、準惑星マケマケを周回する唯一の既知の衛星です。発見チームからは「MK2」という愛称で呼ばれています。この衛星の発見は、太陽系外縁天体の衛星に関する理解を深める上で重要な一歩となりました。

特徴

S/2015 (136472) 1の直径は、推定されるアルベド（反射能）によって異なります。アルベドを4%と仮定した場合、直径は約175km、2%と仮定した場合は約250kmと推定されています。マケマケからの距離は少なくとも21,000kmとされており、公転周期は12日以上であると考えられています。ただし、この公転周期は軌道が円形であると仮定した場合の最小値であり、実際の軌道離心率はまだ不明です。この衛星は、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3を用いた観測によって2015年4月に発見され、2016年4月26日に発表されました。

太陽系外縁天体の多くは、少なくとも1つの衛星を持っていることが知られています。例えば、エリスは1個、ハウメアは2個、冥王星は5個、2007 OR10は1個の衛星を持っています。太陽系外縁天体全体で見ると、10%から20%が1つ以上の衛星を持っているとされています。衛星の存在は、主天体の質量をより正確に測定するために非常に重要であり、S/2015 (136472) 1の観測によってマケマケの質量の推定精度が向上することが期待されています。

観測

観測された画像から、S/2015 (136472) 1は木炭のような低い反射率を持つ非常に暗い天体であることが示唆されました。その明るさはマケマケの約1,300分の1に過ぎません。マケマケがカイパーベルトの中で2番目に明るい天体であることを考えると、これは非常に驚くべき結果でした。この暗さの理由として、S/2015 (136472) 1には明るく揮発性の氷を保持するための十分な重力がなく、太陽からの熱で宇宙空間に失われているという仮説が提唱されています。

S/2015 (136472) 1の軌道を正確に決定するためには、さらなる観測が必要です。もし軌道が円形であれば、S/2015 (136472) 1は過去の巨大な衝突によって形成された可能性があり、楕円形であれば、外部から捕獲された可能性が考えられます。観測チームの責任者であるAlex Parkerは、S/2015 (136472) 1の軌道が地球からの観測では横向きになっていると述べています。そのため、S/2015 (136472) 1はマケマケの光に遮られやすく、その暗さも相まって検出が非常に困難であり、過去の観測では見落とされていたとされています。

今後の展望

S/2015 (136472) 1の今後の観測によって、その軌道や形成過程がより詳細に解明されることが期待されています。特に、軌道の形状を正確に把握することは、この衛星がどのようにしてマケマケの周りを回るようになったのかを理解する上で非常に重要です。また、S/2015 (136472) 1の組成や表面の特性を調べることで、太陽系外縁天体の形成過程や進化に関する新たな知見が得られる可能性があります。

関連項目

太陽系の[[衛星の一覧]]
小惑星の衛星

出典

* 準惑星マケマケに衛星を初発見　NASA - 日本経済新聞 (2016年4月27日). 2018年12月3日閲覧。

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