Sd Kfz 222

Sd Kfz 222 軽装甲偵察車

Sd Kfz 222（Panzerspähwagen Sd.Kfz.222）は、第二次世界大戦中にドイツ国防軍および武装親衛隊が運用した4輪装甲偵察車です。1936年から1943年にかけて約1,000両が生産され、大戦の全期間を通じてあらゆる戦線で偵察任務に投入されました。

開発の背景

1930年代初頭、ドイツ再軍備の一環として、初期の装輪装甲車であるKfz.13およびKfz.14が製造されました。しかし、これらは市販の乗用車に装甲を施したに過ぎず、軍用車両としての性能は不十分でした。

そこで、不整地走行に適した大型軍用車両として開発されたホルヒ108のシャーシを基に、装甲車用シャーシが開発されました。このシャーシを用いて製造されたのが、Sd Kfz 221に始まる軽装甲偵察車シリーズです。Sd Kfz 222は、このシリーズの2番目として登場しました。

Sd Kfz 222の特徴

Sd Kfz 222は、Sd Kfz 221の改良・武装強化型であり、より大きな車体に20mm機関砲と7.92mm機関銃を搭載した大型の砲塔を備えています。砲塔はオープントップで、手榴弾対策として観音開きの金網カバーが設置されていました。この金網カバーは、砲尾の機構を避けるために、Sd Kfz 221やSd Kfz 223よりも背が高く、生産時期によって形状が異なりました。

砲塔は武装のプラットフォームではなく、砲架から突き出たリンクアームで武装と一緒に回転する構造でした。そのため、実質的には全周式の防盾に近い役割を果たしました。この構造は、Sd Kfz 221やSd Kfz 223の銃塔も同様です。

武装の20mm機関砲と同軸の7.92mm機関銃は、対空射撃のために垂直に近い角度まで仰角をかけることができました。ただし、ある程度以上の仰角をかけるには、砲塔上面の金網カバーを開く必要がありました。

Sd Kfz 221が1940年5月に生産を終了したのに対し、Sd Kfz 222は1943年半ばまで生産が続けられ、同系列中最多の989両が製造されました。生産は7つのシリーズに分かれており、各シリーズごとに改良が施されました。初期の20mm機関砲はKwK 30でしたが、後に高性能なKwK 38に換装されました。また、車体シャーシもs.Pkw.I型からs.Pkw.I type V型に変更され、エンジンやブレーキの性能が向上しました。さらに、車体前面装甲の強化や後面グリルへの装甲カバーの追加も行われました。

不整地走行を考慮したシャーシを使用していたにもかかわらず、特に東部戦線では路外機動力が不足していました。そのため、半装軌式のSd Kfz 250/9の量産開始に伴い、Sd Kfz 222の生産は終了しました。しかし、生産済みの車両は大戦終結まで運用されました。

運用と役割

Sd Kfz 222は、偵察大隊の装甲偵察車中隊に配備されました。その主な任務は、小規模な敵部隊と遭遇した際に、20mm機関砲による火力支援を行うことでした。ただし、無線機は近距離の車両間通信専用であったため、遠距離用無線機を搭載したSd Kfz 223などと組み合わせて運用されました。

ドイツ以外の使用国

Sd Kfz 222は、ドイツ以外にも複数の国で使用されました。

中華民国: 1937年前後、Sd Kfz 221、Sd Kfz 223とともに少数輸入され、対日戦に使用されました。中華民国軍で使用された車両は、細部に違いが見られます。

ブルガリア公国: 1943年、Sd Kfz 222とSd Kfz 223計20両がドイツから導入され、装甲偵察大隊に配備されました。

ルーマニア王国
エジプト

登場作品

Sd Kfz 222は、以下のゲームやアニメに登場します。

ゲーム
『R.U.S.E.』
『コール オブ デューティシリーズ』(CoD:FH, CoD2, CoD2:BRO, CoD3)
『スナイパーエリートV2』

アニメ
『新造人間キャシャーン』

参考資料

P.チェンバレン、H.L.ドイル『ジャーマンタンクス』、大日本絵画、1986年
von Horst Scheibert, "DEUTCHE LEICHT PANZERSPÄHWAGEN", PODZUN-PALLAS-VERLAG, 1984
Kaloyan Matev, "Armored Vehicles 1935 - 1945", Angela publishers, 2000
高橋慶史、『ラスト・オブ・カンプフグルッペ』、大日本絵画、2001年
* 滕昕雲、『抗戰時期國軍　機械化／装甲部隊歴畫史 1929-45　中國戰區之部』、軍事文粹、2003年

もう一度検索