Socket 939

Socket 939：AMDの高性能CPUソケット

Socket 939は、AMDが2004年6月にAthlon 64プロセッサ向けに導入したCPUソケットです。これは、以前のSocket 754の後継として登場し、2006年5月にSocket AM2に置き換えられるまで、AMDの主要なデスクトッププラットフォームを支えました。Socket 939は、AMD64アーキテクチャを採用したプロセッサ向けに設計された2番目のソケットであり、その高い性能と拡張性で、多くのユーザーに支持されました。

供給期間と対応プロセッサ

Socket 939は、2004年6月から2006年5月まで市場に出回っていました。AMDは、新しいプラットフォームに注力するため、このソケットの製造を縮小しました。Socket 939に対応したプロセッサには、シングルコアとデュアルコアの両方があり、Athlon 64、Athlon 64 FX、Athlon 64 X2、Sempron、そしてOpteronといった幅広い製品がラインナップされました。

特に注目すべきは、Opteron 185とAthlon 64 FX-60です。これらは、2.6GHzのクロック速度とコアごとに1MBのL2キャッシュを搭載した、Socket 939向け最速のデュアルコアプロセッサでした。また、FX-57は2.8GHzをわずかに超える動作速度で、Socket 939で動作する最速のシングルコアプロセッサでした。

テクノロジー

Socket 939は、デュアルチャネルDDR SDRAMをサポートし、最大6.4GB/秒のメモリ帯域幅を提供しました。プロセッサは、3DNow!、SSE2、そしてSSE3（リビジョンE以降）の命令セットをサポートしており、高度な計算処理やマルチメディア処理に対応しました。また、Socket 939は16ビット幅のHyperTransportリンクを1つ備え、最大2000MT/秒の速度で動作しました。このソケットを使用するプロセッサは、それぞれ64KBのL1インストラクションおよびデータキャッシュを持ち、256KB、512KB、または1MBのL2キャッシュを搭載していました。

AMD 785Gとの組み合わせ

Socket 939の市場流通が終了してから2年以上経過した2009年10月、ASRockは、本来Socket AM3用に設計された最新チップセットであるAMD 785Gを搭載したSocket 939マザーボードを発売しました。AMD 785Gは、AMD 780GをDirectX 10.1に対応させたもので、統合グラフィックスチップとしては非常に高い性能を持っていました。

Athlon 64以降のCPUはメモリコントローラを内蔵しているため、メモリはDDR SDRAMのデュアルチャネルにとどまりましたが、新しいAMD SB710サウスブリッジを搭載することで、RAID対応のSATA、eSATA、PCI Express、HDCP対応のDVI、HDMI、7.1chオーディオ、ギガビットイーサネットなどをサポートすることができました。これにより、Socket 939 CPUを、マルチメディア対応のリビングPCや、ネットワークを介したホームサーバとして再利用することが可能になりました。

まとめ

Socket 939は、その高い性能と拡張性で、AMDのデスクトッププラットフォームを大きく飛躍させたCPUソケットでした。その後継となるSocket AM2に役割を譲りましたが、その技術は、後のプロセッサにも大きな影響を与えました。また、AMD 785Gチップセットとの組み合わせによって、その寿命が延びたことは特筆に値します。

外部リンク

AMD Product Information
AMD Technical Details for Athlon64 and Athlon FX
* Socket 939 Motherboard Roundup #2

もう一度検索