TGV 001

TGV 001の概要

TGV 001（仏: Train à Grande Vitesse 001）は、フランス国鉄（SNCF）が開発した最初の高速鉄道試験車両です。1972年にアルストム社で完成し、その後1978年まで走行試験が行われました。TGV 001は両端に電気式ガスタービン動力車（ターボトレイン）を装備し、その間に3両の付随車を連結した構成を持っています。この試験車両は、250km/hから318km/hという驚異的な速度記録を達成しました。

開発の経緯

TGV 001の開発は、SNCFが進めていた高速鉄道計画の一環として行われ、さまざまな技術分野にわたる深い研究が行われました。当初は2両の試作車の製造が計画されていましたが、技術的な課題から1両のみが完成しました。未完成となった2両目は振り子式車両として計画されていましたが、最終的に製造は中止されました。1996年3月19日には、TGV 001は歴史的建造物に指定されています。

技術的特徴

TGV 001は軽量の車体と高出力の動力装置を特徴としており、この設計コンセプトは後の量産型TGVにも影響を与えました。中間の付随車は連接車として設計され、台車の心皿上に連結器を使用して接続されています。この設計により、曲線通過時の傾斜を抑えることができました。試験は、出力3,760kWのTURMO IIIGと4,400kWのTURMO Xという2種類のガスタービンエンジンを用いて行われ、時速300km/hを超える運転が計画されました。

機関部には、航空機メーカーであるシュド・アビアシオンによって開発されたガスタービンエンジンが搭載されており、発電した電力で台車の主電動機を駆動させています。外装デザインはイギリスのデザイナー、ジャック・クーパーが手がけており、色合いはオレンジ地にダークグレーの帯が施されています。このデザインは、後に開業するTGV Sud-Estにも採用されています。

走行試験の実施

TGV 001は、50万kmにわたる試験運転を5227回行い、175回目の試験運転で300km/hの壁を突破しました。1972年12月8日には、非電化車両として当時の世界記録である318km/hを達成しました。SNCFは、この成功を受けて引き続き高速列車の試験プログラムを進めることとなります。

始めて走行したのは1972年3月20日で、その後の試験では様々な速度での運転が行われました。試験では、4月に120km/h、160km/h、5月に220km/h、240km/hと速度を上げ、6月には展示のためパリ・モンパルナス駅で一時的に運行が中断されました。

7月18日からボルドー-バイヨンヌ間にて新たな試験が実施され、280km/hを超える結果が出されました。その結果、7月27日には300km/hに達し、最終的には314km/hという新記録を樹立しました。

保存と現状

TGV 001は現在、アルザス地域圏のビシェムに保存されています。ここはストラスブール駅から北に2.5kmの地点に位置し、パリ方面-ストラスブール間の列車からも見ることができます。また、TGV 002もフランシュ＝コンテ地域圏のベルフォールに保存されています。これらの車両は、フランスにおける高速鉄道の歴史を語る重要な存在です。

これまでの研究や試験の成果は、後のTGVの発展に大きく寄与しており、高速鉄道の未来を切り開く原動力となったのです。

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