TOCビル

TOCビル（テーオーシービル）

TOCビルは、東京都品川区西五反田七丁目に立地する、オフィス、商業施設、コンベンションセンターなどが一体となった大規模複合ビルです。「五反田TOC」の名称でも広く知られています。運営は株式会社テーオーシーが行っており、TOCという名称は「東京卸売センター（Tokyo Oroshiuri Center）」の略称に由来しています。

この建物は、かつて星製薬の工場があった跡地に建設されました。完成当時は地下3階、地上13階建ての構造で、その容積率は日本国内で最大規模を誇りました。ビル内部は非常に多機能な構成となっており、事務所やショールームとして利用される区画のほか、様々な飲食店や小売店舗が集まるエリア、さらには展示ホールや貸し会議室などが設けられています。

特に、飲食店舗や小売店舗の多くは、ビル下層階や地下街に集中して展開しています。上層階にあたる13階の展示ホールは、大型のバーゲンセールや展示会をはじめ、大学入試や新司法試験といった各種試験の会場としても利用されるなど、多様な用途に対応しています。中層階には、卸売業者の店舗やショールーム、一般的な事務所が多く入居しています。また、ビル内には資格試験の予備校、郵便局、診療所など、非常に幅広い種類の施設が入居しており、多様なニーズに応える複合施設としての性格を持っています。ビルの屋上には、ゴルフ練習場である「フタバゴルフガーデン」や、地域の守り神である「氷川神社」が鎮座しています。運営会社である株式会社テーオーシーの本社機能もこのビル内に置かれています。

1983年には、既存のビルの車寄せ部分を増築する形で「フロントビル」が竣工し、施設の拡張が行われました。周辺には第2から第5までの関連ビル群も存在しており、地域一体でテーオーシー関連の施設が集積しています。敷地内には、当地が星薬科大学の発祥の地であることを記念する石碑も建てられています。なお、首都高速道路を挟んだ場所に、かつてコンベンション施設「TOC五反田メッセ」がありましたが、こちらは2016年に開設後、2022年4月に営業を終了し、建物も撤去されています。

ビルの具体的な規模としては、地下3階、地上13階建て、延べ床面積は約174,013平方メートルに及びます。展示場や会議室は全8室を数え、中でも最も広い「グランドホール」は延べ床面積約5,236平方メートルという広大な空間を有しています。駐車場は約750台収容可能です。

主要な入居店舗は、飲食店が約25店舗、小売店が約60店舗を占めます。これらの店舗の営業時間や休業日は、それぞれ異なります。有名な店舗としては、飲食店ではSUBWAY、エクセルシオールカフェ、とんかつ和幸などがあり、小売店ではユニクロ（かつて都内最大級と称された大型店）、アカチャンホンポ、ナチュラルローソン、ABCマート、ダイソー、キャンドゥ、ORIHICA、コクミン、ユザワヤ、ベルメゾンアウトレット、ハニーズなど、日用品からファッション、趣味の店まで多岐にわたります。

アクセス面では、JR山手線、都営浅草線、東急池上線の五反田駅から徒歩約8分、東急池上線の大崎広小路駅から徒歩約5分、東急目黒線の不動前駅から徒歩約6分、JR山手線、埼京線、湘南新宿ライン、りんかい線の大崎駅から徒歩約15分と、複数の路線からアクセス可能です。特に平日の午前8時から午後8時までの間は、五反田駅との間で無料のシャトルバスが約8分間隔で運行されており（東急バス委託）、利用者の利便性を高めています。また、国道1号線（第二京浜、桜田通り）や首都高速2号目黒線にも面しており、自動車でのアクセスも良好です。

TOCビルには長らく再開発計画がありました。2021年8月には、現ビルの建て替えとして、地上30階、地下3階、高さ約150メートル、延床面積約276,000平方メートルにおよぶ新ビルを建設する計画が発表されました。当初は2023年春頃の解体着工、2027年春の竣工を目指していましたが、2022年9月には計画が6ヶ月から1年程度延期されることが公表されました。そして、2024年3月31日をもってTOCビルは一旦閉館しました。しかし、同年4月9日、運営会社であるテーオーシーは、その後の建築費高騰やビル賃貸市場の状況変化を考慮し、計画を見直すことを発表しました。その結果、現在のビルをリニューアルした上で、2024年9月頃にビル賃貸事業および催事事業を再開し、新たなビルの着工時期は2033年頃へと大幅に後ろ倒しされることになりました。これにより、長年五反田のランドマークであったTOCビルは、当面の間、リニューアルされた姿で存続することになります。

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