TOI-2095

恒星TOI-2095

TOI-2095は、地球からおよそ42パーセク（約137光年）離れた宇宙に位置する恒星です。この天体が特に注目されるのは、アメリカ航空宇宙局（NASA）のトランジット系外惑星探索衛星TESSによる観測で、その周囲に2つの太陽系外惑星が見つかったためです。

TOI-2095という名前は、TESSによる観測から惑星候補が見つかった天体（TESS object of interest）に一時的に与えられる符号です。この星自体は、太陽に比べてサイズが小さく表面温度も低いM型の赤色矮星に分類され、具体的にはスペクトル分類M2.5Vに該当します。物理的な特徴としては、太陽の約0.44倍の質量と約0.44倍の半径を持ち、表面温度はおよそ3759ケルビンと推定されています。TOI-2095には、TESS Input Catalogに登録された際の「TIC 235678745」や、「Gaia DR2 2268372099615724288」、「2MASS J19023192+7525070」など、いくつかの別の名称も存在します。興味深い点として、TOI-2095はTESSだけでなく、後継のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）も長期にわたって継続的に観測可能なContinuous Viewing Zone（CVZ）と呼ばれる特別な領域に位置しており、将来的なより詳細な観測が計画されています。

惑星系の発見と確認

TOI-2095に惑星が存在する可能性が最初に明らかになったのは、TESSが恒星の手前を惑星が通過する際に生じるわずかな明るさの変化、すなわちトランジットを捉えたことに端を発します。このTESSの観測データから、2つの惑星が存在する可能性が示唆され、これらは暫定的に「TOI-2095.01」および「TOI-2095.02」という惑星候補として指定されました。これらの候補に関する情報は、2020年7月15日に一般に公開されました。検出されたトランジットの深さは、TOI-2095.01が約670 ppm、TOI-2095.02が約820 ppmと、非常にわずかなものでした。

その後、地上望遠鏡などを用いた追加の観測（フォローアップ観測）が行われ、これらの惑星候補が実際にTOI-2095の周囲を公転する惑星であることが確認されました。確認を経て、TOI-2095.01は「TOI-2095 b」、TOI-2095.02は「TOI-2095 c」という正式な名称が与えられました。これらの惑星の発見および確認に関する詳細な研究成果をまとめた論文は、プレプリントサーバーであるarXivに2023年4月18日に公表されています。

惑星の詳細

正式に確認された2つの惑星、TOI-2095 bとTOI-2095 cは、いずれも地球よりも大きな半径を持つ「スーパーアース」に分類される太陽系外惑星です。内側を公転する惑星TOI-2095 bは、主星であるTOI-2095の周囲を約17.7日という比較的短い周期で一周しています。その物理的なサイズは地球の約1.25倍の半径を持つと推定されています。この惑星の質量については、現時点では上限値のみが判明しており、地球質量の4.1倍以下であると考えられています。

一方、外側を公転する惑星TOI-2095 cは、約28.2日かけてTOI-2095の周囲を一周しています。TOI-2095 cの半径は地球の約1.33倍と測定されており、TOI-2095 bよりもわずかに大きいサイズを持つスーパーアースです。こちらの惑星の質量についても上限値が報告されており、地球質量の7.4倍以下とされています。

これらの惑星の表面温度については、主星からの距離に基づいて計算された平衡温度が知られています。TOI-2095 bの平衡温度は約347ケルビン（摂氏約74度、華氏約165度）、TOI-2095 cの平衡温度は約297ケルビン（摂氏約24度、華氏約75度）です。これらの温度は、恒星のハビタブルゾーン、すなわち生命が存在しうる液体の水が惑星表面に存在できる可能性のある領域の内側の境界線に近い範囲にあると考えられています。

今後の展望

TOI-2095 bとcに関する今後の研究計画として、研究チームはドップラー分光法を用いた追加のフォローアップ観測を行う予定です。この手法を用いることで、惑星が主星に及ぼす重力的な揺らぎを捉え、惑星のより正確な質量を測定することが可能になります。質量が正確に分かれば、既知の半径と組み合わせて惑星の平均密度を計算することができます。この密度情報は、惑星が地球のように岩石質で構成されているのか、あるいはガス成分を多く含むミニネプチューン的な構造を持つのかといった、惑星の内部構造や組成に関する重要な手がかりとなります。TOI-2095系は、その主星がTESSとJWSTの両方で長期観測が可能な位置にあることから、今後さらなる詳細な特性評価が進められることが期待される注目の惑星系と言えます。

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