TOI-2319

TOI-2319

恒星としての特徴

TOI-2319は、地球から見てヘルクレス座の方向に約352光年離れた宇宙空間に位置する恒星です。スペクトル分類はG型に属しており、これは太陽と同じタイプの主系列星であることを示しています。この恒星は、HD 152843やSAO 84691といった別の名称でも知られています。

TOI-2319の物理的性質を見てみると、その質量は私たちの太陽とほぼ同じです。しかし、半径は約1.5倍と太陽よりも大きく、このため光度も太陽よりわずかに明るいという特徴を持っています。質量は同程度でありながら、膨張しつつある段階にあるのかもしれません。

惑星系の発見

この恒星の周囲には、複数の太陽系外惑星が存在することが確認されています。惑星系の発見は、NASAが運用するトランジット系外惑星探索衛星TESS（Transiting Exoplanet Survey Satellite）による観測データに基づいて行われました。TESSは、惑星が恒星の手前を通過（トランジット）する際に生じる恒星のわずかな減光を捉えることで、系外惑星候補を発見するミッションを担っています。

TOI-2319の惑星候補の特定には、市民科学プロジェクト「プラネットハンターズ（Planet Hunters）」が重要な役割を果たしました。世界中の市民研究者がTESSの公開データを解析し、惑星によるものと思われる周期的な減光パターンを探索することで、惑星候補の発見に貢献しました。このプロジェクトを通じて、TOI-2319の周囲を公転する2個の惑星候補が発見されました。

TESSによる約1ヶ月間の観測期間中、合計3回のトランジット信号が検出されました。このうち2回のトランジットは内側の惑星であるTOI-2319 bによるもの、残る1回は外側の惑星であるTOI-2319 cによるものと考えられました。

惑星の確定と特徴

TESSデータから得られた惑星候補の存在を確定するため、地上からのフォローアップ観測が実施されました。イタリアのTelescopio Nazionale Galileoに設置された高精度視線速度計HARPS-Nや、ローウェル天文台のEXPRES分光器などが用いられ、候補天体が実際に惑星であることを確認する観測が行われました。これらの精密な観測によって、TOI-2319の周囲に2つの惑星が存在することが確定しました。

確認された2つの惑星、TOI-2319 bとTOI-2319 cは、比較的短い公転周期を持っています。内側の惑星TOI-2319 bの公転周期は約12日であり、恒星に比較的近い軌道を回っていることが分かります。外側の惑星TOI-2319 cは、その約2倍にあたる約24日の公転周期を持っています。これらの惑星のさらなる詳細な物理的性質については、今後の観測による解明が待たれます。

TOI-2319とその惑星系は、TESS衛星と市民科学の協力によって発見された系外惑星系の事例の一つであり、多様な惑星系が存在する宇宙の理解を進める上で貴重な情報を提供しています。この惑星系は2021年にその存在が公表されました。

関連項目

• - 太陽系外惑星
• - 2021年に発見された太陽系外惑星の一覧

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