Tu-12 (航空機)

ツポレフ Tu-12 (Tupolev Tu-12)

ツポレフ Tu-12は、第二次世界大戦が終わった後に開発されたソビエト連邦の中型爆撃機です。この機体は、ツポレフ Tu-2という成功したピストンエンジン搭載の爆撃機を基盤にし、より高性能な双発ターボジェットエンジンを装備して設計されました。Tu-12は、ソ連空軍とツポレフ設計局が、ジェット技術の導入過程での課題を克服するために開発した機種であり、その後、アメリカ合衆国国防総省によってType 9と識別されました。

開発経緯

1947年の初め、ツポレフ設計局はジェット爆撃機の開発が遅れていたことから、旧式のTu-2にロールス・ロイス ニーンジェットエンジンを装着して新たなジェット爆撃機を急ピッチで完成させることを決定しました。公式な許可が下りる前に、設計は進められ、試作機の製造が開始されました。过程中では、標準的なTu-2からの変更を最小限に抑えながら、新技術の導入が進められました。

主な改良内容としては以下のような点があります：

• - 標準のシュベトツォフ ASh-82FN星型エンジンをロールス・ロイス ニーンに換装
• - 主翼の上反角を6°から3°に変更
• - 胴体を400 mm延長し、後部胴体の高さを300 mm増加
• - エンジンナセル内に収納される新設計の降着装置
• - 燃料タンクをガソリンからケロシンに変更し、追加タンクを設置
• - 操作系統にトリムタブの設置
• - 主翼と尾翼の強化
• - 機首側面に23 mm NS-23機関砲を装備

これらの改良により、Tu-12は1947年7月27日に初飛行を行い、8月には航空ショーでの披露を果たしました。9月には製造側の試験を完了し、10月には運用者側による評価試験が始まり、最終的にTu-12という名称が付与されました。

特徴と評価

空軍科学テスト研究所(NII VVS)の評価レポートによると、Tu-12はTu-2よりも速度と上昇率が改善され、巡航高度も増加しましたが、地上での操行性能は依然として課題を残しました。特に、与圧式キャビンの欠如による飛行高度の制限や、防氷装置の不備が指摘され、これが運用における実質的な弱点となりました。また、機体の振動が航法士席の機器に影響を与え、発砲時の振動による構造的な問題も認識されました。

テストでは、MiG-9やYak-23ジェット戦闘機との連携も試みられ、これにより新しい戦術や装備の評価が行われました。この結果、ソ連の爆撃機における火力の重要性が再認識され、大口径機関砲の採用に繋がることとなりました。

運用状況

Tu-12は、当初、ソ連空軍において乗員の訓練と慣熟に使用され、後にはいくつかの機体がドローンのテストミッションにも使用されました。工場改装された機体の中には、ニーンエンジンの無認可コピーが搭載されたものもありました。

要目

• - 乗員: 5名
• - 全長: 16.45 m
• - 全幅: 18.86 m
• - 空虚重量: 8,993 kg
• - 全備重量: 15,720 kg
• - エンジン: ロールス・ロイス ニーン ターボジェットエンジン × 2
• - 最大速度: 783 km/h
• - 航続距離: 2,200 km
• - 巡航高度: 11,370 m
• - 武装: 23 mm NS-23機関砲 × 1、12.7 mm ベレージン UB機関銃 × 2、爆弾3,000 kg

Tu-12は、ソビエト空軍の運用において重要な位置を占める存在となり、同時に爆撃機の進化に寄与しました。

もう一度検索