Turion 64 X2

Turion™ 64 X2

Turion™ 64 X2（テュリオン ろくじゅうよん エックス ツー）は、AMDが開発したモバイルPC向けのマイクロプロセッサです。AMD-K8アーキテクチャをベースにしており、デュアルコア構成が特徴です。この記事では、このTurion™ 64 X2に加え、派生製品であるAthlon™ 64 X2 Dual-Core for NotebooksとSempron™ X2 Dual-Core for Notebooksについても解説します。

概要

Turion™ 64 X2は、2006年5月17日に発表された「Turion 64」の後継モデルです。このCPUは、AMD64アーキテクチャ、仮想化技術であるAMD Virtualization、省電力技術のPowerNow! Technology、そしてDDR2メモリに対応しています。デスクトップPC向けの「Athlon 64 X2」と同等の機能を持ちながら、モバイル環境での利用を想定して設計されています。

638ピンのSocket S1プラットフォームを採用しており、従来のTurion 64とは互換性がありません。一部のノートパソコンメーカーで採用されたほか、CPU単体での販売も行われていました。しかし、Socket S1に対応するマザーボードは、組込用途向けのMini-ITX規格のものがAxxtend Technologyから発表されたのみで、一般市場にはあまり流通していません。

後継製品としては、Turion X2 Ultraがリリースされています。

製品仕様

Turion 64 X2 / Athlon 64 X2 Dual-Core for Notebooks

コア構成: 2コア統合パッケージ
L1キャッシュ: 各コアに64KiB（命令用）+ 64KiB（データ用）
L2キャッシュ: 512KiBまたは256KiB
対応命令: MMX, Extended 3DNow!, SSE, SSE2, SSE3, AMD64, PowerNow!, NX bit, AMD-V
HyperTransport: 800 MHz (1600 MT/s, 10.7 GB/s CPU-RAM + 6.4 GB/s CPU-I/O transfer rate)
コア電圧: 1.07 V, 1.075 V, 1.1 V, 1.125 V
対応ソケット: Socket S1(g1)
製造プロセス:
Trinidad & Taylor (90 nm SOI)
Tyler (65 nm SOI)
リリース日:
Trinidad & Taylor: 2006年5月17日
Tyler: 2007年5月3日

Socket S1のリビジョン

Socket S1には、g1、g2、g3、g4といった複数のリビジョンが存在します。これらのリビジョン間には物理的な互換性はありますが、電気的な互換性はありません。異なるリビジョンのCPUを搭載しても、基本的に正しく認識されません。

各リビジョンと対応するモデルナンバーは以下の通りです。

SocketS1g1: TL-xx / TK-xx / MK-xx (Turion 64 X2世代)
SocketS1g2: RM-xx / ZM-xx (Turion X2 Ultra世代)
SocketS1g3: Mxxx (Turion II/Turion II Ultra世代)
SocketS1g4: Pxxx / Nxxx (Phenom II世代)

派生製品

Athlon™ 64 X2 Dual-Core for Notebooks

Turion™ 64 X2の廉価版として位置づけられる製品で、OEM向けに提供されました。基本的なアーキテクチャはTurion™ 64 X2と共通ですが、一部機能やクロック周波数が抑えられている場合があります。

Sempron™ X2 Dual-Core for Notebooks

さらに低価格帯の製品として、同じくOEM向けに提供されました。Athlon™ 64 X2 Dual-Core for Notebooksよりも機能が制限されていることが一般的です。

外部リンク

AMD Turion 64 X2 デュアルコア・モバイル・テクノロジ
* List of AMD Turion microprocessors - Trionシリーズ一覧（英語版Wikipedia）

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