VP3

On2 TrueMotion VP3（オーエヌツートゥルーモーションブイピースリー）は、アメリカのOn2 Technologies社によって開発されたビデオコーデックです。2001年にVP3.2 Open Source Licenseの下でオープンソースソフトウェアとして公開され、広く利用されるようになりました。このオープンソース化は、ソフトウェア開発コミュニティにとって大きな転換点となり、後のビデオコーデック開発に大きな影響を与えました。

2002年には、On2 Technologies社とXiph.Org Foundationの間で合意がなされ、VP3を基盤として、より高度な後継コーデックであるTheora（テオラ）を開発することが決定しました。Theoraは、VP3の設計思想を受け継ぎつつ、圧縮効率や画質を向上させることを目指して開発されました。この合意は、オープンなビデオコーデックの発展を促進する上で重要な役割を果たしました。

VP3の利用例

VP3は、主に以下の用途で利用されていました。

テレビ番組やビデオカメラで録画した映像の保存: 比較的小さなファイルサイズで映像を保存できるため、記録メディアの容量を節約したい場合に利用されました。
ビデオカメラで録画した映像の配布: ネットワーク環境が十分ではなかった時代でも、比較的容易に映像を共有することができました。これにより、個人が撮影した映像を広く配布する機会が広がりました。

コンテナフォーマット

VP3は、様々なコンテナフォーマットに格納して利用することができます。主なコンテナフォーマットは以下の通りです。

AVI: オーディオと映像を格納できる一般的なコンテナフォーマットで、(VP3+MP3).aviのように、VP3で圧縮された映像とMP3で圧縮された音声が組み合わせて利用されます。
MOV: Apple社が開発したQuickTimeで使用されるコンテナフォーマットで、(VP3+MP3).movのように、VP3とMP3の組み合わせで利用されます。
MKV: Matroska Multimedia Containerの略で、複数の映像、音声、字幕を格納できる柔軟性の高いコンテナフォーマットです。(VP3+Vorbis).mkvのように、VP3で圧縮された映像とVorbisで圧縮された音声が組み合わせて利用されます。MKVは、特に多様なコーデックや字幕をサポートする必要がある場合に便利です。

関連事項

VP3に関連するコーデックは以下の通りです。

Theora: VP3をベースに開発された後継のオープンソースコーデックです。VP3の設計を基盤としつつ、圧縮効率や画質を向上させ、現代の様々なメディア環境に対応できるように進化しました。Theoraは、オープンなビデオコーデックの代表的な存在として知られています。
VP6: 主にFlash Videoで利用されるコーデックです。Adobe Flash Playerで再生されるビデオコンテンツに広く利用され、Web上での動画配信に大きな役割を果たしました。
VP7: Googleが開発したビデオコーデックで、VP6の後継として登場しました。VP8の前身にあたります。
VP8: VP7の後継コーデックであり、Googleが提唱するWebMプロジェクトで採用されています。WebMは、HTML5との親和性が高く、Webブラウザ上で動画を再生する際に利用されています。
VP9: VP8の後継として開発されたコーデックであり、より高い圧縮効率を実現しています。VP9もまたWebMで採用されており、4Kや8Kなどの高解像度動画の配信に貢献しています。

VP3は、そのオープンな性質から、後のビデオコーデック開発に大きな影響を与えた重要な技術です。特に、Theoraの開発に繋がったことは、オープンなメディア技術の発展における重要な出来事でした。これらの関連技術は、現代のデジタルメディア環境を支える上で不可欠な要素となっています。

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