Matroska

Matroska（マトロスカ）

Matroska（ロシア語: Матрёшка）は、マルチメディアデータを一つのファイルにまとめるためのオープンなコンテナフォーマットです。特に、動画、音声、字幕に対応しており、「.mkv」拡張子で知られるMatroska Videoファイルや、「.mka」ファイルであるMatroska Audioが代表的です。名前の由来は、ロシアの入れ子人形「マトリョーシカ」にあります。

概要

Matroskaは、EBML（Extensible Binary Meta Language）というデータ構造を基に設計されており、後方互換性と拡張性を兼ね備えています。オープンソースプロジェクトであり、GNU LGPLのもとで開発が進められています。このフォーマットは、様々なデバイスやプレーヤーで対応されており、家庭用のDVDプレーヤーの中にもMatroska形式に対応しているものがあります。さらに、Googleの動画規格であるWebMでもMatroskaの一部が採用されています。2014年には、MicrosoftがWindows 10にMatroska形式を標準で対応させることを発表しました。

特徴

Matroskaの主要な特長は、多種多様なコーデックに対応している点です。以下はその一部です：

• - 動画コーデック: VFW Codec、QuickTime Codec、Motion JPEG、MPEG-1、2、4、H.264、H.265、RealVideo、Snow、Theora、VC-1、VP8、VP9、AV1
• - 音声コーデック: AAC、AC-3、DTS、MP3、MP2、Vorbis、Opus、PCM、RealAudio、FLAC、TTA、WavPack

MKV（Matroska Video File）

• - 複数音声の収録が可能で、任意のフレーズを選択して再生できます。
• - Bフレーム（双方向参照フレーム）に対応しており、高解像度の動画を効率的に管理します。
• - チャプター機能があり、1/1000秒単位での設定が可能です。
• - 可変フレームレート（VFR）に対応し、映像の滑らかさを保持します。
• - 高度な字幕機能を持ち、様々なフォーマットの字幕をサポートします。
• - アスペクト比の指定が可能です。
• - 映像、音声、字幕以外のファイルを添付することもできます。
• - DVD-Videoのようなメニュー機能も将来的に予定されています（現在は未実装）。

MKA（Matroska Audio File）

• - アルバム化機能があり、複数の音楽ファイルを一つにまとめ、順番に再生できます。
• - 同一の再生時間を持たない音声ファイルの多重化が可能です。
• - 異なる音声コーデックを同時に収録することもできます。

EBML構造

MatroskaはEBMLという高度に拡張性のあるデータ格納方式を使用しています。この方式は、XMLに基づいており、要素をタグ形式で記述することができます。EBMLの利点は、新たな機能の追加に伴っても逆互換性を損なわないことです。EBML DocumentはEBML Elementの入れ子構造によって構成され、各要素はElement ID、Element Data Size、Element Dataから成り立っています。

拡張子

• - .mkv: Matroska Video (映像)
• - .mka: Matroska Audio (音声のみ)
• - .mks: Matroska Subtitles (字幕のみ)
• - .mk3d: Matroska 3D (3D映像)

対応ソフトウェア

Matroskaフォーマットに対応したプレーヤーやツールも多数存在します。代表例には、VLC media player、Media Player Classic、GOM Player、FFmpegなどがあります。オープンソースな環境で広く利用されており、様々なデバイスでサポートされています。

このように、Matroskaは柔軟性が高く、マルチメディアデータの管理において非常に有用なフォーマットです。

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