VSATシステム

VSATシステムとは

VSAT（Very Small Aperture Terminal）システムは、通信衛星を介した双方向通信システムの一つです。このシステムは、通信衛星、通信制御を行うVSAT制御地球局（親局：HUB局）、各地に設置されるVSAT地球局（子局：VSAT）、そして公衆電気通信回線網で構成されています。衛星通信端末装置が小型であることから、この名前が付けられました。

主に電話やデータ通信に利用され、その通信形態によって、以下の3つのタイプに大別されます。

1. スター型VSATシステム

このシステムでは、送受信信号が常にHUB局を経由します。VSATからHUB局、公衆電気通信回線網、そしてユーザー端末へとデータが流れます。VSATの通信相手はHUB局のみであるため、小型のアンテナで十分であり、VSAT自体も小型化が可能です。主に銀行などの小容量データ通信に利用されています。

2. DAMA（Demand Assignment Multiple Access）型フルメッシュVSATシステム

このシステムでは、VSATからの電話呼び出し信号をHUB局が受信し、VSAT同士の電話回線を必要に応じて開設します。スター型VSATシステムと比較して、VSATのアンテナ口径はやや大きくなります。

3. TDMA（Time Division Multiple Access）型フルメッシュVSATシステム

このシステムでは、HUB局のクロックに基づいて、全てのVSATが同一周波数帯域を時分割で利用します。VSATのアンテナ口径は、総回線容量に比例します。DAMA型システムよりも、VSAT単局当たりの回線数を多く確保できます。

無線局としてのVSAT

電波法に基づき、VSAT地球局とVSAT制御地球局は以下のように規定されています。

VSAT地球局：電気通信業務を行うことを目的とする地球局で、他の地球局によって送信制御される小規模な地球局（電波法施行規則第15条の2第3項、無線設備規則第54条の3）。
VSAT制御地球局：VSAT地球局の送信を制御する他の地球局（電波法施行規則第38条第3項）。

また、電波法施行規則第15条の2には、「電気通信業務用VSAT地球局」が特定無線局として規定されています。特定無線局は、複数の無線設備を包括して免許される制度であり、免許人は電気通信事業者となるため、利用者は携帯電話端末と同様に免許を意識せずに利用できます。

VSAT地球局の運用

電波法施行規則第33条により、VSAT地球局の運用には無線従事者免許証が不要です。

特定無線局として免許されている場合、無線設備の通信操作は、無線従事者を必要としません。
特定無線局として免許されていない場合でも、無線設備の通信操作および電波の質に影響を与えない外部転換装置の技術操作は、無線従事者を必要としません。

さらに、VSAT地球局は電波法施行規則第41条の2の6第15号により、定期検査が免除されています。これは携帯電話端末やMCA無線と同様の扱いです。

VSATシステムの特性

このように、VSATシステムは、地上波の携帯電話やMCA無線と類似した側面が多く、利用者から見ると、免許人の条件を除けば衛星電話よりもMCA無線に近いと言えるでしょう。

脚注

関連情報

* 地域衛星通信ネットワーク：地方自治体向けのVSATサービス。

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