WISE J104915.57-531906.1

WISE J104915.57-531906.1 (WISE 1049-5319 / ルーマン16)とは

WISE J104915.57-531906.1、通称WISE 1049-5319、またはルーマン16として知られるこの天体は、地球から見てほ座の方向に約6.52光年離れた位置にある褐色矮星の連星です。この天体は、その近さと特異な性質から天文学界で大きな注目を集めています。

距離

WISE 1049-5319は、地球から約6.52光年という比較的近い距離に位置しています。これは、褐色矮星としては最も地球に近い存在です。恒星を含めても、プロキシマ・ケンタウリ（約4.2光年）、ケンタウルス座α星AとB（約4.4光年）、バーナード星（約6.0光年）に次いで、5番目と6番目に近い天体です。

この距離は、年周視差という方法で測定されました。WISE 1049-5319は、約0.5秒角という比較的大きな視差を示しており、これは天文学的な距離測定において重要な指標となります。さらに、年間で赤経方向に約2.8秒角、赤緯方向に約0.4秒角という非常に大きな固有運動を示しています。これは、この天体が非常に速く宇宙空間を移動していることを示しています。

最も近い単独の褐色矮星はWISEPC J150649.97+702736.0で、約11.1光年の距離にあります。また、7.3光年とさらに近い位置にはWISE J085510.83-071442.5が存在しますが、これは準褐色矮星である可能性が指摘されています。

発見

WISE 1049-5319は、2013年に天文学者のケビン・ルーマンによって発見されました。彼は、広域赤外線探査衛星「WISE」が2010年1月8日と同年7月1日に撮影した画像からこの天体を発見しました。この発見は、1948年に発見されたルイテン726-8以来、約65年ぶりに10光年以内で見つかった恒星または褐色矮星として大きな話題となりました。

実は、WISE 1049-5319は、WISEによる観測以前にも、DSS（1978年4月19日および1992年3月9日）、DENIS（1999年2月11日）、2MASS（1999年5月16日）などの観測データに記録されていました。しかし、WISE 1049-5319自体が非常に暗く、銀河面に位置していたため、多数の明るい恒星に紛れて発見が困難だったと考えられています。

二重星の性質

WISE 1049-5319は、2つの褐色矮星からなる二重星系です。この連星系は、チリにあるジェミニ天文台のジェミニマルチオブジェクト分光器（GMOS）によって2013年2月23日に初めて分離されました。それ以前に撮影された画像では、解像度が低かったために、二つの天体が分離されて認識されることはありませんでした。

二つの天体は、それぞれWISE 1049-5319 AとWISE 1049-5319 Bと名付けられました。AとBの等級の差は0.45等級とわずかで、スペクトル分類は、AがL7型からL9型、BがL型とT型の境界に位置するとされています。Aのスペクトルは、L8型の2MASS J16322911+1904407と比較されました。

観測によると、AとBは見かけ上約1.5秒角離れていますが、実際には約4億5000万km（約3天文単位）離れており、約25年周期で互いを公転していると考えられています。この連星系の詳細な観測は、褐色矮星の形成過程や進化を理解する上で重要な情報を提供すると期待されています。

関連事項

近い恒星の一覧
WISEPC J150649.97+702736.0
* WISE J085510.83-071442.5

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