WPIX

WPIX、チャンネル11は、アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市に位置するテレビ局です。ミッション・ブロードキャスティングが所有し、ネクスター・メディア・グループによるローカルマーケティング契約に基づいて運営されています。特に、2022年10月にネクスターが75%の所有権を取得したCWテレビジョンネットワークにおいては、「事実上の」直営局であり、その旗艦局としての役割を担っています。局のスタジオとオフィスは、1948年の開局以来、ミッドタウン・マンハッタンのデイリーニューズ・ビルディングに置かれています。送信所はエンパイア・ステート・ビルディングにあります。WPIXは、アメリカとカナダの一部地域において、衛星およびケーブルを通じて「スーパーステーション」としても視聴可能です。市場規模の観点から見ると、同局はCW提携局の中で最大の人口規模をカバーしています。

歴史

WPIXは、1948年6月15日に放送を開始しました。これはニューヨーク市内で5番目のテレビ局であり、市場で2番目の独立局でした。開局時には、そのコールサインは、設立母体である新聞社ニューヨーク・デイリーニューズの「ニューヨークの写真新聞」というスローガンに由来しています。デイリーニューズは、シカゴ・トリビューンの発行元であるトリビューン・カンパニーの部分的な子会社でした。WPIXは、1991年にトリビューンに完全に所有されるまで、トリビューンの他の放送局とは別に運営されていました。初期の番組編成は、子供向け番組、映画、シンジケート番組の再放送、広報番組、宗教番組、スポーツ中継など、独立局としては一般的な内容でした。特に、ニューヨーク・ヤンキースの試合は1951年から1998年まで長年にわたり放送され、局の重要なアイデンティティとなりました。

何世代にもわたり、WPIXは子供向け番組で記憶に残るパーソナリティを輩出しました。「オフィサー・ジョー」や「キャプテン・ジャック」といったホストが登場し、「ポパイ」や「三ばか大将」などの短編映画を紹介しました。また、「ゆかいなボゾ」や「ジョヤの時間」「マジックガーデン」といったローカル制作の子供向け番組も放送されました。また、子供が電話でビデオゲームを操作できる「TV PIXX」というユニークな番組もありました。

WPIXのもう一つの特徴は、その映画のラインナップでした。メジャーなスタジオ作品から輸入映画まで、幅広いジャンルの映画を所有していました。特に感謝祭に放送される「木製の兵士たちの行進」のような休日の定番映画や、プライムタイムや週末に頻繁に放送される映画によって、「ニューヨークの映画放送局」として知られるようになりました。10月にはホラー映画を特集する「Shocktober」という企画も行われました。

番組編成の苦労もあった中、1966年に始まった「ユール・ログ」は、暖炉の映像とクリスマス音楽を組み合わせた独特の番組で、現在もクリスマスの定番として放送されており、トリビューンの他の局やオンラインでも提供されています。また、1977年からは毎年クリスマスイブに聖パトリック大聖堂からのミッドナイトミサを生中継しています。

局の象徴である「サークル11」ロゴは1969年に初登場しました。1970年代半ばには、WPIXはニューヨーク地域で2番目に評価の高い独立局となりました。ロゴは一時的に変更されましたが、1984年には復活し、ワールドトレードセンターのツインタワーとの類似性をユーモラスに扱ったプロモーションも展開されました。

1978年、WPIXは衛星経由で全米のケーブルプロバイダーに配信されるスーパーステーションとなりました。これにより、多くの地域で視聴できるようになりましたが、1990年代には他のスーパーステーションに置き換えられる動きもありました。しかし、衛星放送やカナダのケーブル局では引き続き提供されています。1980年代後半には視聴率が低迷しましたが、マイケル・アイグナーがジェネラルマネージャーに就任後、局は再生の道を歩み始め、ニューヨークシティマラソンの独占中継などを通じて主要な独立局としての地位を確立しました。1994年には新しい「11」ロゴを発表し、その後のブランドイメージを形成しました。

WBおよびCW系列時代

1995年1月、トリビューン・カンパニーがタイムワーナーとの共同で設立したThe WBテレビジョンネットワークのチャーター系列局となり、初めてネットワーク系列局となりました。当初はプライムタイムの一部のみの放送でしたが、ネットワークの番組拡大に伴い、WPIXの番組編成も変化していきました。日中のシンジケート番組が増加し、映画の放送機会は減少しました。2000年代初頭には「WB 11」としてブランド化されました。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件では、ワールドトレードセンターにあったWPIXの送信設備が破壊されました。主任エンジニアが犠牲となる痛ましい出来事も発生しました。局のヘリコプターは、テロ発生後も空中からの映像提供を特別に許可され、その映像は崩壊調査にも使用されました。その後、WPIXはエンパイア・ステート・ビルディングから信号を送信しています。

2006年1月、タイム・ワーナーとCBSコーポレーションがWBとUPNを統合してCWネットワークを設立すると発表し、WPIXは新たなCWの系列局となりました。トリビューンはCWの所有権を持たなかったため、WPIXは主要ネットワークに所有されていない最大のCW系列局となりました。2008年後半には、「PIX 11」へとブランド名を変更し、現代的な「サークル11」ロゴを採用しました。

所有権に関しては、トリビューン・カンパニーはサム・ゼルによる買収後、破産保護を申請し、後に主要債権者の管理下で再建されました。2017年にはシンクレア・ブロードキャスト・グループによる買収計画がありましたが、規制当局の懸念などから破談となりました。その後、ネクスター・メディア・グループがトリビューンを買収し、WPIXを含む一部の局はE・W・スクリップス・カンパニーに売却されましたが、後にネクスターの関連会社であるミッション・ブロードキャスティングが買い戻すオプションを行使し、現在の所有体制となりました。

番組内容

ニュース運用
WPIXは開局当初からニュース報道に力を入れてきました。ニューヨーク市で初めて完全に撮影されたニュース番組を提供し、3アンカー形式のニュース番組を制作しました。また、1980年から1990年にかけては、独立放送局向けの全国ニュース番組「インディペンデントネットワークニュース（INN）」を制作し、ローカルニュースと組み合わせて放送しました。局は過去にニュース報道の改ざん疑惑でFCCから指摘を受けたこともありましたが、その後ニュース賞を受賞するなど信頼を回復しました。

2000年代以降、ニュース部門は拡大を続けました。2000年には朝のニュース番組「WB11 Morning News」（現「PIX 11 Morning News」）を開始し、他局の朝番組と競合するようになりました。2008年にはニューヨーク市で4番目に高解像度でのニュース放送を開始しました。ニュース時間は徐々に拡大され、平日朝のニュースは最大6時間放送されています。また、夕方や週末のニュース番組も追加され、現在では18時30分にニューヨーク市で唯一のローカルニュースを提供しています。ニュースの形式やアンカーの変更も度々行われています。

スポーツ番組
WPIXはヤンキースの長年の放送局として知られていましたが、1998年に放映権を失いました。その後、ニューヨーク・メッツの試合を放送する時期もありました。2015年にはヤンキースの試合がWPIXに戻ってきましたが、2022年にはAmazon Prime Videoに移行しました。現在もジャイアンツやジェッツが出場するNFLの試合をサイマル放送することがあります。また、かつてはプロレスなど様々なスポーツイベントを放送していました。

広報・特別イベント
WPIXは、セント・パトリックス・デー・パレード、コロンブス・デー・パレード、ナショナル・プエルトリカン・デー・パレードといったニューヨークの主要なパレード中継を長年行っています。また、「ジ・オープン・マインド」や「PIX News Closeup」といった広報番組や、メイシーズの7月4日の花火イベントなどもかつて放送していました。

技術情報

WPIXのデジタル信号は複数のサブチャンネルで構成されており、メインチャンネルの他に、クラシック番組ネットワークのアンテナTVやリワインドTVを放送しています。アナログ放送は2009年6月12日に終了し、デジタル信号はUHFチャンネル33からVHFチャンネル11に移行されました。

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