XTB2F (航空機)

XTB2F: 艦上雷撃機の歴史

XTB2Fは、アメリカのグラマン社がTBFアヴェンジャーの後継機として開発した双発の雷撃・爆撃機である。この機体は、1941年12月の真珠湾攻撃による太平洋戦争の開幕に伴い、アメリカ海軍が新型艦上機の開発を急務として掲げた背景から生まれた。

背景

太平洋戦争の始まりは、アメリカ海軍に多くの課題を与えた。1942年初頭、海軍は既に開発や量産が進められていた艦上機に代わって、さらなる高性能の機体を求める計画を立ち上げた。戦争の進展に伴って、海軍軍縮条約は無効化され、これによってより大型で強力な航空母艦が建設できるようになった。この新しい艦の建造により、戦争のニーズに応えるための新型艦上機開発が加速した。

当初、アメリカ海軍はヨークタウン級航空母艦の拡大版であるエセックス級航空母艦を基に、より大型の艦上機運用を考えていた。しかし、戦訓から得られた知見により、1942年半ばにはさらなる大型航空母艦の建設が計画され、ミッドウェイ級航空母艦の登場につながっていく。これに伴い、航空機メーカーにはサイズや重量に制約されない新機体の提案が求められることになり、グラマン社はそれに応じて新たな機体開発を進めていった。

XTB2Fの開発

1942年12月、グラマン社は社内名称“G-55”で新型機の開発を開始した。1943年3月には設計案が海軍に提示され、同年8月には試作機2機の発注を受け、仮制式番号“XTB2F-1”が与えられた。この段階では設計作業は順調に進んでいたが、海軍はさらなる戦略的見直しを行い、対艦攻撃機の開発方針を変更した。その結果、単座の攻撃機に効率的に統合されることとなり、XTB2Fのような大型機体の必要性は薄れていった。このような経過から、1944年6月には発注が取り消され、開発プロジェクトは終息を迎えた。

当初の計画ではモックアップの製作が行われたものの、飛行試作機の製作は実現されなかった。こうしてXTB2Fは歴史の中で実際には飛行することなく、計画の段階で終わりを迎えることとなった。

要目

• - 全長: 15.85 m
• - 全幅: 22.56 m
• - 全高: 5.18 m
• - 最大離陸重量: 19,929 kg
• - エンジン: P&W R-2800-22（2基、各2,100馬力）
• - 最高速度: 502 km/h
• - 実用最大高度: 9,600 m

武装

• - T13E1(M4): 75mm航空カノン砲（機首右側面下部）
• - AN/M2: 12.7mm機関銃×10基（機首左側面6基、主翼基部4基、連装銃塔2基）

搭載能力

• - Mark.13航空魚雷: 最大1発
• - 爆弾: 最大3,500ポンド（約1,600 kg）

XTB2Fは、艦上機の運用における期待が高まった時代の中で開発が行われたが、戦局の変化によりその運命は非情に終わった。他の関連機体や艦上機の進化に影響を与える重要なプロジェクトである。

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