Xubuntu

Xubuntu（ズブントゥ）とは

Xubuntuは、Ubuntuコミュニティから公式に派生したLinuxディストリビューションの一つです。特徴として、デスクトップ環境にXfceを採用している点が挙げられます。このXfceは、軽量で高速な動作を実現するように設計されており、古いPCやリソースの限られた環境でも快適に利用できます。

概要

Xubuntuは、その軽量さから、LubuntuやLinux Mintなどの他の軽量ディストリビューションと比較されることが多いです。しかし、Xubuntuの大きな特徴の一つとして、長期サポート（LTS）版が提供されている点が挙げられます。これにより、安定した環境を長期間利用できるため、個人利用だけでなく、企業などでの利用にも適しています。

日本では、大阪府交野市で、サポートが終了したWindows 2000搭載パソコンの代替OSとして採用された事例があります。これは、Xubuntuが古いハードウェアでも十分に動作する性能を持っていることの証明と言えるでしょう。

歴史

Xubuntuの最初のリリースは、当初Ubuntu 5.10（Breezy Badger）と同時期に予定されていましたが、開発の遅れから実現しませんでした。その後、Ubuntu 6.06（Dapper Drake）の一部として、KubuntuやEdubuntuとともに2006年 6月1日にリリースされました。この最初のリリースは、Jani Monoses氏によって主導されました。

パフォーマンス

Xfceデスクトップ環境は、UbuntuのデフォルトであるGNOMEよりも少ないシステムリソースで動作するように設計されています。2010年9月の時点で、Xubuntuの開発チームは、最小限のRAM要件を128MBとし、256MBのRAMを推奨していました。この数値からも、Xubuntuが非常に軽量なディストリビューションであることがわかります。

リリース

Xubuntuは、Ubuntuのリリースサイクルに合わせて定期的に新しいバージョンがリリースされています。以下に、主なリリースとその特徴をまとめます。

Xubuntu 6.06 LTS

最初の公式リリースであり、2006年 6月1日に利用可能になりました。Linux カーネル 2.6.15.7とXfce 4.4 beta 1を使用し、Thunar、GDM、Abiwordなどのアプリケーションが含まれていました。

Xubuntu 6.10

2006年 10月26日にリリース。Xfce 4.4 beta 2とUpstartが含まれており、64MBのRAMでも動作可能でした（推奨は128MB）。

Xubuntu 7.04

2007年 4月19日にリリース。Xfce 4.4を使用。

Xubuntu 7.10

2007年 10月18日にリリース。MurrinaStormCloudと呼ばれる新しいテーマが含まれていました。

Xubuntu 8.04 LTS

2008年 4月24日にリリースされたLTS版。Xfce 4.4.2を使用し、PolicyKit、PulseAudio、新しい印刷マネージャ、Wubiなどが導入されました。

Xubuntu 8.10

2008年 10月30日にリリース。Abiword 2.6.4、Totemメディアプレーヤー、Catfishデスクトップ検索などが含まれていました。

Xubuntu 9.04

2009年 4月23日にリリース。起動時間の高速化が図られ、Xfce 4.6、新しい設定マネージャ、Gigoloなどが含まれていました。

Xubuntu 9.10

2009年 10月29日にリリース。Xfce 4.6.1を使用し、GRUB 2とext4がデフォルトになりました。Exaile音楽プレーヤーも含まれていました。

Xubuntu 10.04 LTS

2010年 4月29日にリリースされたLTS版。XsaneがSimple Scanに置き換えられ、Ubuntuソフトウェアセンターが組み込まれました。

Xubuntu 10.10

2010年 10月10日にリリース。Xfburn、Xfce4-taskmanager、Paroleメディアプレーヤーなどが追加されました。

Xubuntu 11.04

2011年4月28日にリリース。Xfce 4.8を使用し、メニューエディタやElementary Xubuntuアイコンテーマが導入されました。

Xubuntu 11.10

2011年10月13日にリリース。gThumbが画像ビューアとして導入され、LightDMがログインマネージャになりました。

Xubuntu 12.04 LTS

2012年 4月26日にリリースされたLTS版。新たなロゴや壁紙、Ubiquity、Plymouth、LightDMなどのテーマが変更されました。

Xubuntu 12.10

2012年 10月18日にリリース。Xfce 4.10が導入され、32ビットシステムでのPAEサポートが必須になりました。

Xubuntu 13.04

2013年 4月25日にリリース。GIMPとGnumericが再び含まれるようになりました。

Xubuntu 13.10

2013年 10月17日にリリース。新しい設定マネージャとドキュメンテーションの更新が行われました。

Xubuntu 14.04 LTS

2014年 4月17日にリリースされたLTS版。Mugshot、Menulibre、Light-lockerなどが含まれていました。

Xubuntu 14.10

2014年 10月23日にリリース。Xfce Power Managerプラグインが追加されました。

Xubuntu 15.04

2015年 4月23日にリリース。Xfce 4.12が用いられ、新たなカラースキームが含まれていました。

Xubuntu 15.10

2015年10月22日にリリース。Xfce4 Panel Switchが追加され、AbiwordとGnumericがLibreOfficeに置き換えられました。

Xubuntu 16.04 LTS

2016年 4月21日にリリースされたLTS版。UbuntuソフトウェアセンターがGNOME Softwareに置き換えられました。

Xubuntu 16.10

2016年 10月13日にリリース。XubuntuのGTK3への移行が進められました。

Xubuntu 17.04

2017年 4月13日にリリース。XfceターミナルなどのGTK3への移行が進められました。

Xubuntu 17.10

2017年 10月19日にリリース。Greybird GTKテーマの改善などが行われました。

Xubuntu 18.04 LTS

2018年 4月26日にリリースされたLTS版。HiDPPIがサポートされ、Evince、GNOME File ROller、GNOME Calculatorなどが置き換えられました。システム要件は1GBのRAMと20GBのハードディスク空き容量となりました。

Xubuntu 18.10

2018年 10月18日にリリース。ウィンドウマネージャの見た目が改善されました。

Xubuntu 19.04

2019年 4月18日にリリース。32ビットISOイメージの提供が終了しました。GIMP、LibreOffice Impress、Drawなどが追加されました。

Xubuntu 19.10

2019年 10月17日にリリース。Xfce 4.14が含まれ、ZFS ファイルシステム、LVMなどが導入されました。

Xubuntu 20.04 LTS

2020年 4月23日にリリースされたLTS版。

Xubuntu 20.10

2020年 10月26日にリリース。

リリース履歴

Xubuntuは、基本的にUbuntuのリリースサイクルに沿ってリリースされます。

インストール方法

Xubuntuは、以下の方法でインストールできます。

CD/DVDメディアやUSBからの新規インストール
Ubuntu系のディストリビューションをインストールした後、パッケージ「xubuntu-desktop」を追加

日本語化

Xubuntuは、標準で日本語に対応しています。さらに、Ubuntu Japanese Teamが提供するローカライズパッケージを導入することで、Ubuntu日本語Remix版と同等の日本語環境を構築できます。また、非公式の日本語化済みLive CDも存在します。

派生版

Xubuntuをベースにした派生ディストリビューションも存在します。

eeeXubuntu: Eee PC専用に調整されたディストリビューション。
ChaletOS: Windowsに似た操作性を持ち、Wineを標準搭載したディストリビューション。
Voyager: Xfceを採用したフランスのOSで、独自の変更を加えたMacOS風の画面が特徴。

脚注

この記事は、Xubuntuの概要と歴史、主なリリース、インストール方法などをまとめたものです。