YM2413

YM2413: 音源技術の先駆者

YM2413は、日本楽器製造（ヤマハ）が1986年6月に発表し、翌月からサンプル出荷を開始したFM音源LSIです。このデバイスは、特に文字放送受信機やキャプテン端末を対象に開発され、当初のサンプル出荷価格は1個3,000円でした。

開発背景と機能

YM2413は、日本独自の文字多重放送やビデオテックスシステムで使用される音源を内蔵しており、メロディ楽器15種類とリズム楽器5種類の音色が含まれています。これにより、文字放送の付加音機能やメロディ機能に対応することが可能となり、共通の音符符号化方式を採用していました。

LSI内には、ビブラートや振幅変調を行うための発振器も内蔵されており、音楽システムのコストを大幅に削減できるよう設計されています。さらに、9ビットD/Aコンバーターと水晶発振回路も搭載されており、精度の高い音楽再生が可能です。このデバイスは、YM3526というコスト削減版であり、後方互換性を持つFM音源LSI「YM3812（OPL2）」と似た特徴があります。

用途の多様性

YM2413は、元々の目的であるキャプテン端末や文字放送受信機に加え、家庭用ゲーム機「セガ・マークIII」や、MSX規格の周辺機器、さらにはパチスロ機『ニューパルサー』まで、幅広い用途で採用されています。その理由は、その低コストで組み込みが容易な特性からです。

発音モードと特性

YM2413は2つの発音モードを搭載しています。一つはメロディ音を最大9音同時に聞かせることができるモード、もう一つはメロディ音6音と5種類のリズム音を同時発音することができるモードです。この構造は、YM3526とYM3812に共通しており、特に文字放送やキャプテンに適した機能となっています。

FM音源は各オペレーターを搬送波と変調波として用いるFM変調モードが搭載されており、その柔軟性はユーザーにとって大きな利点です。また、オリジナルの音色をレジスタで定義することも可能であり、音楽制作やゲーム開発の現場で活用されています。

内蔵音色の一覧

YM2413には多様な音色が登録されており、各種楽器を模したメロディ音とリズム音が用意されています。具体的には、バイオリン、ギター、ピアノ、フルートなどのメロディ楽器に加え、バスドラムやスネアドラム、ハイハットなどのリズム楽器も含まれています。これにより、音楽のスタイルに合わせた音色の選択が可能です。

互換性と亜種

YM2413は、1987年に発表されたYM2420（OPLL2）をはじめ、様々な互換LSIが市場に登場しました。その中には、音源部分にYM2413相当のFM音源を内蔵するものや、音色を変更したLSIなどがあります。これらの製品は、音楽やゲーム開発のニーズに応じて利活用されています。

まとめ

YM2413は、その豊富な音色と低コスト化を実現した特性から、音源技術の一翼を担ってきました。文字放送や家庭用ゲーム機、パチスロ機など、幅広い分野での利用が続いており、今後もその影響力は色あせることはないでしょう。

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