Peco

Peco（ピィコ）: イギリスを代表する鉄道模型メーカー

1946年、イギリス南西部デヴォン州シートンで創業したPeco（ピィコ）は、鉄道模型の世界で長く愛され続けている老舗メーカーです。線路やストラクチャーといった模型の基盤となる製品から、車両キット、そして鉄道模型に関する雑誌まで、幅広い事業を展開しています。社名は「ピコ」と発音するのが最も近いですが、ドイツのメーカーPIKOとの混同を避けるため、日本では輸入元の機芸出版社が1969年から「ピィコ」という表記を採用しており、本稿でもそれに倣います。

Pecoグループの多様な事業

Pecoは、製造部門であるPritchard Patent Product Company Ltd、出版部門のPeco Publications and Publicity Ltd、そして魅力的な庭園Pecoramaからなるグループです。それぞれの事業が連携し、鉄道模型愛好家にとって充実した製品と情報を提供しています。

線路とストラクチャー

Pecoの製品ラインナップはZゲージからGゲージまでと非常に幅広く、多様なスケールに対応しています。線路は、特徴的な「道床なし」タイプが有名です。枕木のみがレール下に付いているシンプルな構造で、走行音を抑えるためにスポンジ状の道床も販売されています。また、フレキシブル線路と組み立て式線路の2種類があり、レイアウト作成の自由度を高めています。ストラクチャーはキット形式で提供され、ユーザー自身の創造性を刺激します。Nゲージの貨車や蒸気機関車なども製造しています。

分岐器とセットラック、ストリームライン

Pecoの分岐器は、通電方法によって選択式と非選択式に分けられます。選択式は分岐側にのみ通電されるため、絶縁ジョイナーによるギャップ設置が必要なケースもありますが、ピィコ製品では通常不要です。セットラック（ST）は、組み立て式線路と一部の分岐器を含むセットで、レイアウト作成を効率化します。ストリームライン（SL）は、フレキシブル線路や中大型の分岐器、ジョイナーなどの補修部品、アクセサリー類を網羅したシリーズです。

Peco Lectrics（ピィコ・レクトリクス）

電気関連製品は「Peco Lectrics」として展開され、ポイントマシン（ターンアウトモーター）や切り替えスイッチが代表的です。これらの製品は埋設型のため、床置き利用時にはモーターアダプターが必要となります。

ZゲージとNゲージ、HO/O[[Oゲージ]]

各ゲージに対応した製品が豊富に用意されています。Zゲージではコード60レールを使用したフレキシブル線路や、メルクリンミニクラブの分岐器に合わせた製品も提供されています。Nゲージでは、木製とPC枕木の2種類のフレキシブル線路や、様々なタイプの分岐器がラインナップされています。ピィコNファインは、レールを枕木に半埋め込みすることでレール高さを低く見せる独自の製品です。HO/O[[Oゲージ]]では、#100、#83、#75のレールがあり、Nゲージと同様のセットラックとストリームラインが用意されています。

ストラクチャーと車両

ストラクチャーはヨーロッパ風のデザインが多く、HO/O[[Oゲージ]]とNゲージに対応した製品が販売されています。車両はOゲージ、O[[Oゲージ]]、Nゲージに対応し、完成品とキットの両方が提供されています。特にNゲージの完成品蒸気機関車や貨車は人気です。キットは自作愛好家向けで、細部の工作が求められます。

出版事業と協業

Pecoは、月刊の鉄道模型雑誌『Railway Modeller (RM誌)』と『Continental Modeller (CM誌)』を発行し、鉄道模型に関する情報を発信しています。近年では、KATOとの協業により、フェスティニオグ鉄道の模型製品化も発表されており、その活動はますます広がりを見せています。

まとめ

Pecoは、高品質な製品と幅広いラインナップ、そして他社との連携によって、世界中の鉄道模型愛好家から支持されているメーカーです。その歴史と技術、そして多様な製品群は、これからも鉄道模型シーンを彩り続けるでしょう。

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