カツミ

株式会社カツミ：日本の鉄道模型史に名を刻む老舗メーカー

東京都目黒区に本社を置く株式会社カツミ（KTM）は、日本を代表する鉄道模型メーカーであり、卸売業者でもあります。戦後間もない頃から鉄道模型の製造・販売を行い、長年に渡り、日本の鉄道模型文化に貢献してきました。

戦後復興とアメリカ市場への進出

カツミの前身は、ゴム動力飛行機を扱う模型店でした。東京都港区高輪で創業後、1983年に目黒区下目黒へ拠点を移し、1996年には現在の社名に改称しました。当初はOゲージ専門メーカーでしたが、1950年代後半からはH[[Oゲージ]]も製造、輸出するようになり、特にアメリカ市場への輸出が盛んでした。進駐軍相手の製造から始まり、1959年にはマックス・グレイ氏を迎え、大量のアメリカ向け輸出を実現。横浜のメーカーを下請けに製造していました。日本型車両の16番ゲージへの参入は1959年、自由形Cタンク、ED70、7100弁慶号、自由形EB58などから始まりました。

円高と市場変化への対応

1985年のプラザ合意による急激な円高と、1990年代以降の韓国製品との価格競争激化により、アメリカ向け輸出は減少しました。Oゲージ全盛期には、アメリカ向けには実物に忠実な二線式直流方式の機関車を製造していましたが、国内向けにはブリキ製など、実物とは異なる製品が中心でした。このことは、日本の住宅事情や好みなども影響し、Oゲージの国内での衰退の一因になったという見方もあります。後にOJゲージ製品も供給しました。

16番ゲージにおける圧倒的な存在感

カツミは16番ゲージにおいて、圧倒的な製品数を誇ります。JR発足後も多くのJR車両や私鉄車両を製品化し、エンドウと共に「16番ゲージの雄」と呼ばれています。他社が主に国鉄型車両や電気機関車に集中する中、カツミは幅広い車両を製品化することで知られています。製品は真鍮製が一般的で、完成品は1両5万円程度、動力車はさらに高価です。近年は原材料費や人件費の高騰により価格上昇が続いています。

ハンダ付け技術の継承

カツミ製品は、ハンダ付けによる組み立てを前提として設計されています。そのため、同社はハンダ付け技術の普及にも力を入れており、完成品だけでなく、ハンダ付けキットや入門用DVDなども販売しています。池袋店では定期的に工作教室を開催し、鉄道模型イベントでもハンダ付け実演を行っています。入門用キットとしてED600形、東急3450形タイプ、クモユニ74タイプ、ステンレス電車（東急1000系タイプ）などが発売されています。いずれも実車とは異なる「タイプ」製品となっています。

多様な製品群と今後の展望

鉄道模型以外にも、建築模型や地形模型なども手がけています。2023年3月にはエーツー株式会社の完全子会社となり、新たな体制で事業を展開しています。長年に渡り培ってきた精密な金属加工技術と、ハンダ付け技術の伝承という伝統を守りながら、今後も日本の鉄道模型業界を牽引していく存在として、その動向に注目が集まります。

エンドウとの関係

カツミは、エンドウ（旧遠藤商店）と部品や駆動装置の共通化を進めるなど、協力関係を築いてきました。かつてはエンドウが製造し、カツミが販売するという形態もとられていましたが、現在はそれぞれが独立して製品を販売しています。

店舗情報

かつて存在した目黒店は2018年7月に閉店しています。現在の店舗情報は公式ウェブサイトをご覧ください。

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