カイナン

カイナン

旧約聖書『創世記』に登場するカイナン（ヘブライ語: קֵינָן, 現代ヘブライ語: Qeinan）は、セトの孫にあたる人物です。『創世記』5章9節から14節には、カイナンはエノスが90歳の時に生まれ、自身が70歳の時にマハラレルをもうけ、910歳で亡くなったと記されています。

カイナンの系譜

『創世記』におけるカイナンの系譜は以下の通りです。

父：エノス
祖父：セト
子：マハラレル

また、『ヨベル書』によると、カイナンの母親はエノスの妹であるノエムとされています。

聖書翻訳による表記の差異

日本語訳聖書では、カイナンの表記が翻訳によって異なる場合があります。

カイナン: 文語訳聖書、口語訳聖書
ケナン: 新世界訳聖書（創世記）、新共同訳聖書
カイナン: 新世界訳聖書（ルカによる福音書）

このように、同じ人物を指す場合でも、翻訳によって表記が異なるため注意が必要です。

ルカによる福音書における記述

ルカによる福音書では、イエス・キリストの系譜の中にカイナンが登場します。ここでは、創世記5章9節と同様に「エノスの子、マハラレルの父」としてのカイナンが登場します。しかし、もう一つ、「シェラの父、アルパクシャドの子」とされるカイナンが登場します。

創世記のセムの系図では、「アルパクシャドは35歳になってシェラを生んだ」とされており、この箇所にカイナンは登場しません。そのため、ルカ福音書におけるカイナンの位置づけは、聖書学者によって議論の対象となっています。

新共同訳聖書では、ルカによる福音書において「エノスの子」を「ケナン」、「アルパクシャドの子」を「カイナム」と表記しています。しかし、創世記の記述には、どちらの人物も登場しません。

このように、ルカ福音書の系譜には、創世記の系譜にはないカイナンの記述が含まれており、聖書の無謬性や解釈に関する議論を引き起こす要因となっています。

まとめ

カイナンは旧約聖書と新約聖書に登場する人物であり、特に系譜上の位置づけにおいて、聖書翻訳や解釈によって異なる見解が存在します。創世記とルカ福音書における記述の差異、そして翻訳による表記の違いは、聖書研究における興味深い論点を提供しています。聖書を読む際には、これらの差異を意識することで、より深く聖書の内容を理解することができるでしょう。

脚注

（特に無し）

関連項目

聖書の無誤性
福音書
* ナザレのイエス

もう一度検索