ガスガス

GASGAS：スペインが生んだオフロードバイクの雄

1985年、スペインで生まれたGASGASは、トライアル車専門の販売代理店からスタートした小さなメーカーでした。創業者のナルシス・カサスとジョゼップ・ピベルナットは、主要取引先の破綻を機に、自らバイクの製造に乗り出します。日本の亜路欧からの支援も受けながら、わずか200台から始まった生産は、やがて欧米市場へと拡大。数千台規模の販売を達成するまでに成長しました。

トライアル世界選手権での輝かしい功績

GASGASの名を世界に知らしめたのは、トライアル世界選手権での活躍です。自転車トライアル譲りのテクニックと、GASGASの軽量マシンを駆使したジョルディ・タレス選手は、1993年から1995年にかけて3連覇を達成。この快挙は、GASGASの技術力の高さを世界に示すこととなりました。その後も、アダム・ラガ選手など数々のトップライダーを輩出し、通算15度のタイトルを獲得しています。

エンデューロ、そしてロードレースへの挑戦

トライアルでの成功にとどまらず、GASGASはエンデューロ世界選手権でも中小排気量クラスを中心に活躍し、7度のタイトルを獲得しました。2ストロークエンジンのATV（全地形対応車）も製造するなど、事業を多角化。競技用モデルだけでなく、一般ユーザー向けに公道走行可能なHALLEYモデルも展開しました。

2000年代以降は、Moto2/Moto3クラスへのロードレース世界選手権への参戦を果たし、2023年にはMotoGPクラスへも参戦しています。オフロードでも、エンデューロ世界選手権とモトクロス世界選手権でKTMのチーム・マシンを引き継いでファクトリー参戦を果たしており、数々の栄冠を獲得しています。世界ラリーレイド選手権とダカール・ラリーでは、KTMの450ラリーをベースにしたマシンで、2022年には選手権とダカールの双方で総合優勝を達成しました。

KTMグループ入りと新たな展開

経済不況の影響を受け、2015年には一時的に経営不振に陥り破産申請を行う事態となりましたが、スペインの電動バイクメーカー「トロット」傘下を経て、2019年にはKTMの親会社であるピエラ・モビリティAGに買収されました。これにより、KTMやハスクバーナとのプラットフォーム共有が進み、技術開発や販売面での相乗効果が期待されています。KTMグループの一員として、GASGASは新たなステージへと進んでいます。

日本におけるGASGAS

日本市場では、設立当初から長きに渡り輸入販売代理店が変わりながらも、2020年からはKTM JAPANが「GASGAS MOTORCYCLES JAPAN」として正規輸入販売を担当しています。トライアル、エンデューロ、モトクロスなど、様々なモデルが日本でも販売されています。

「GASGAS」という社名

「GASGAS」という社名は、スペイン語圏のスラング「gas（ガス）」に由来します。「gas」はガソリンの略語として用いられ、「アクセル全開」を意味する言葉です。社名を重ねることで、「より速く走る」という強い意志が込められています。黎明期の米国では「Fast Fast」というキャッチコピーが使われていたことからも、そのスピリットが見て取れます。

未来へ向けた挑戦

トライアル、エンデューロ、モトクロス、ロードレースと、幅広い分野で活躍するGASGAS。その挑戦はこれからも続いていきます。革新的な技術と、情熱的なライダーたちによって、GASGASはオフロードバイクの世界をさらに盛り上げていくことでしょう。

主なシリーズ

スーパーモタード (SM)
モトクロス (MC)
トライアル (TXT)
エンデューロ (EC, EC F)

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