ゴロンタロ州

ゴロンタロ州について

ゴロンタロ州は、インドネシアのスラウェシ島北部に位置する州です。2000年12月5日に北スラウェシ州から分離し、新設されました。州都はゴロンタロ市です。

概要

ゴロンタロ州は、宗教的、民族的な背景から、北スラウェシ州との間に差異が見られます。2000年の時点で、北スラウェシ州のイスラム教徒の人口比率が49.8%だったのに対し、ゴロンタロ州では98.2%と圧倒的に多く、また、北スラウェシ州ではミナハサ人が多数を占めるのに対し、ゴロンタロ州ではゴロンタロ人が大多数を占めています。これらの違いが、過去に様々な差別を生んだ要因とされています。例えば、北スラウェシ州の知事にゴロンタロ出身者が一度も就任したことがないことや、開発予算の配分が少ないことなどが指摘されています。ゴロンタロ州は典型的な農村地帯であり、大規模な地主層は形成されていません。

歴史

ゴロンタロ州の設立

1997年のアジア経済危機がインドネシアを襲い、スハルト体制が揺らぎ始めた頃、各地で学生運動が活発化しました。その波はゴロンタロにも及び、地方自治に関する議論が学生たちの間で交わされるようになりました。ゴロンタロ出身の学生たちが中心となり、ゴロンタロ出身インドネシア学生・大学生連盟（HPMIG）が設立されました。1999年2月上旬に開催されたHPMIG第5回総会では、マナドに住むゴロンタロ人がミナハサ人から受けている差別が訴えられました。しかし、当時の地方政治エリートは新州設立に消極的で、新州設立を公約に掲げる政党もありませんでした。そこでHPMIGは、イスラム学生協会（HMI）ゴロンタロ支部と連携し、メディアを通じて支持を拡大しました。そして、ゴロンタロ・トミニ・ラヤ州設立準備委員会（FP3GTR）が設立され、1999年12月3日にゴロンタロ・トミニ・ラヤ州設立準備委員会（P4GTR）が発足しました。

学生たちはゴロンタロ青年・学生行動連盟（KPMGP）を結成し、ゴロンタロ市・県議会で新州設立を求めるデモを開始しました。マナドやマカッサルでも同様の動きが起こり、新州設立運動は全国的な広がりを見せました。1999年12月6日には、HPMIGの学生らが国会・国民協議会前でデモを行いました。

しかし、ゴロンタロ・トミニ・ラヤ州設立宣言の過程で、新州設立運動は停滞しました。P4GTRには多くのメンバーが参加し、組織が肥大化し、機動性を失ってしまったのです。そこで、HMIゴロンタロ支部は様々な団体をまとめあげるため、ゴロンタロ・トミニ・ラヤ州設立理事会を設立しました。その後、ゴロンタロ県議会、ゴロンタロ市議会が新州設立を支持する決定を下し、地元の有力政治家も賛同しました。2000年2月8日にはゴロンタロ州設立に関する州議会本会議が開催され、同月12日には州議会が新州設立を支持することを決定しました。

同年7月以降、ゴロンタロ州設立が本格化すると、北スラウェシ州議会議員の中から州設立阻止の動きが現れましたが、最終的には新州の名前をゴロンタロ州、州都をゴロンタロ市として設置することが決定しました。当初は、中スラウェシ州の一部や北スラウェシ州のボルモン県を含む案もありましたが、これは見送られました。

人口

2005年6月30日：92万2176人
2010年5月1日：104万164人

隣接州

北：セレベス海
東：北スラウェシ州
南：トミニ湾
西：中部スラウェシ州

行政区分

ゴロンタロ州は、5つの県と1つの市部に分かれています（2015年現在）。

県

ボアレモ県 - （ティラムタ）
ボネ・ボランゴ県 - （スワワ）
ゴロンタロ県 - （リムボト）
北ゴロンタロ県 - （クワンダン）
ポフワト県 - （マリサ）

市

ゴロンタロ - Kota Gorontalo

交通機関

空港

ジャラルディン空港
ガルーダ・インドネシア航空（ハサヌディン国際空港、スカルノ・ハッタ国際空港）
ライオン・エア（ハルオレオ空港、ハサヌディン国際空港、ジュアンダ国際空港、スカルノ・ハッタ国際空港）
スリウィジャヤ航空（ハサヌディン国際空港、スカルノ・ハッタ国際空港）
ウィングス・エアー（サム・ラトゥランギ国際空港）

観光

以下のような観光名所が挙げられます。

オタナハ要塞 (Benteng Otanaha)
リンボトタワー (Menara Limboto)
ボトゥトヌゥオビーチ (Pantai Botutonuo)
オレンジ要塞 (Benteng Orange)
オタ洞窟 (Ota Jin)
サロンデ島 (Pulau Soronde)

脚注

注釈

出典

関連項目

スラウェシ島

参考文献

* 岡本 正明「自治体新設運動と青年のポリティクス : ゴロンタロ新州設立運動(1998年-2000年)に焦点を当てて(<特集>インドネシア政治への新たな視座)」『東南アジア研究』第45巻第1号、京都大学東南アジア研究所、2007年6月30日、137-158頁。 

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