サンディ・ピーターセン

サンディ・ピーターセン：ゲームデザインの巨匠

カール・サンフォード・ジョスリン・「サンディ」・ピーターセンは、1955年9月16日生まれのアメリカのゲームデザイナーです。彼の名は、特にクトゥルフ神話TRPGの主要な制作者として、そして数々のビデオゲームの名作を手掛けたクリエイターとして、世界中のゲーム愛好家に知られています。

生い立ちとゲームとの出会い

ミズーリ州セントルイスで生まれたピーターセンは、カリフォルニア大学バークレー校で動物学を専攻しました。しかし、彼を真に魅了したのは、父の書斎で見つけたH.P.ラヴクラフトの作品集『The Dunwich Horror and other Weird Tales』でした。この出会いが、後に彼のゲームデザインに大きな影響を与えることになります。1974年には、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』との出会いを通じて、ロールプレイングゲームの世界に足を踏み入れ、その情熱はケイオシアムでの常勤スタッフとしての活動へと繋がります。

ケイオシアムでの活躍とクトゥルフ神話

ピーターセンのロールプレイングゲームとラヴクラフトへの愛が融合したのは、1981年に発売されたケイオシアムの『クトゥルフの呼び声』でした。彼はこのゲームの主要な作者となり、数多くのシナリオと背景作品を執筆しました。また、『ルーンクエスト』第三版の共同執筆や、高評価を得た『Trollpak』を含むグローランサのサプリメントの制作にも携わるなど、TRPG界で確固たる地位を築きました。アバロンヒルやゲームズワークショップ向けにも『ルーンクエスト』のサプリメントを執筆するなど、その才能は多岐にわたりました。

幅広いゲームジャンルへの挑戦

ピーターセンは、West End Gamesの『Ghostbusters』の共同デザイナーを務めたほか、マイクロプローズでは『Sid Meier's Pirates!』や『Sword of Samurai』などの作品で評価を得ました。1989年から1992年には、『Darklands』、『Hyperspeed』、『Lightspeed』といった作品にも携わり、さらに『シヴィライゼーション』にも貢献しています。1993年にはid Softwareに入社し、『Wolfenstein 3D』や『DOOM』のレベルデザインを担当。特に『DOOM』では、19のステージを制作し、そのうち8つはトム・ホールの初期ドラフトに基づいています。その後、『DOOM II』で17ステージ、『Quake』で7ステージを制作し、彼のラブクラフト好きの影響は、これらのゲームのモンスターデザインにも表れています。

アンサンブルスタジオとエイジ オブ エンパイア

1997年6月にid Softwareを辞めた後、アンサンブルスタジオに移籍し、『エイジ オブ エンパイア』シリーズの開発に携わりました。彼は『ライズ オブ ローマ』、『エイジ オブ エンパイアII』、『覇者たちの光陰』などのゲームデザイナーとして、シリーズの発展に大きく貢献しました。この時期、彼は「ES_Sandyman」のユーザー名でHeavenGamesフォーラムに頻繁に投稿し、「Ask Sandyman」という人気スレッドを運営し、ファンからの質問に答えていました。

映画制作とボードゲームへの情熱

ピーターセンは、2011年の映画『闇に囁くもの』のエグゼクティブ・プロデューサーも務めました。この作品は、H.P.ラヴクラフトの作品を1930年代の白黒ホラー映画スタイルで映像化したものです。また、彼は現在、ホラー雑誌『Arcane: Penny Dreadfuls for the 21st Century』の発行者でもあります。アンサンブルスタジオ閉鎖後にはSMU Guildhallで教鞭を執り、ゲームデザインを教えるなど教育分野にも貢献しました。その後、「Barking Lizards Technologies」でクリエイティブディレクターとして『Osiris Legends』を手掛けた後、2013年には自身の会社Green Eye Gamesを設立し、ボードゲーム『Cthulhu wars』のKickstarterキャンペーンを成功させました。このゲームは、従来のクトゥルフゲームとは異なり、プレイヤーが旧支配者となって地球を奪い合うという斬新なコンセプトで人気を博しています。

ケイオシアムへの復帰と現在

2015年6月には、グレッグ・スタフォードと共にケイオシアムに復帰し、彼のゲームデザインへの情熱は今もなお衰えることなく続いています。

私生活と信念

ピーターセンは末日聖徒イエス・キリスト教会（モルモン教）の信者ですが、ゲームに悪魔的な要素を取り入れることに矛盾は感じていません。彼は「ゲームの悪魔はただの漫画だ」と語っており、自身の信念とゲームデザインを両立させています。彼は結婚しており、5人の子供と9人の孫に恵まれています。

主なクレジット

コンピュータゲーム

Sid Meier's Pirates! (1989)
シヴィライゼーション (1991)
Lightspeed (1990)
Hyperspeed (1991)
Darklands (1992)
DOOM (1993)
Doom II: Hell on Earth (1994)
The Ultimate DOOM (1995)
Quake (1996)
Hexen: Beyond Heretic (1996)
Final DOOM (1997)
エイジ オブ エンパイア (1997)
エイジ オブ エンパイア: ライズ オブ ローマ (1998)
エイジ オブ エンパイアII (1999)
エイジ オブ エンパイアII：覇者たちの光陰 (2000)
エイジ オブ エンパイアIII (2005)
エイジ オブ エンパイアIII : ザ ウォーチーフ (2006)
Halo Wars (2009)
Osiris Legends (2011)

ロールプレイングゲーム

『クトゥルフの呼び声』 (1981)

ボードゲーム

Cthulhu Wars (2015)
Theomachy (2016)
Orcs Must Die! (2016)
Castle Dicenstein (2017)
Evil High Priest (2018)
The Gods War (2018)
Hyperspace (2019)

映画

『闇に囁くもの』 (2011)




サンディ・ピーターセンの業績は、ゲーム業界における彼の多大な貢献を物語っています。彼の創造性は、今後も多くのゲームファンを魅了し続けるでしょう。

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