シタン

シタンについて

シタン（紫檀）は、マメ科のツルサイカチ属に属する幾種類かの木材を指しており、特に銘木として重宝されています。古代から日本にはケランジィ（Dalbergia cochinchinensis）やマルバシタン（Dalbergia latifolia）の2種が紫檀として輸入されてきました。シタンは、コクタン（黒檀）やタガヤサン（鉄刀木）と並ぶ唐木三大銘木の一つとされています。

現在、広義のシタンとして認知されているのは、ツルサイカチ属に属する数種を含みます。しかし、「紫檀」という名称をツルサイカチ属のみに限定すべきだという意見も存在し、広義に解釈する場合、インドカリン属（Pterocarpus）に分類される品種を紫檀系と呼ぶこともあります。

シタンに該当する種は明確には定まっておらず、ケランジィ、コウキ（Pterocarpus santalinus）やカリン（Pterocarpus indicus）を含む場合もあります。これらの木材は、利用方法や市場価値によってさまざまな名称で呼ばれています。

シタンの木材の特徴

シタンは熱帯地域に自生する堅固で重い樹木で、心材は重硬かつ緻密です。気乾比重が0.82〜1.09と高く、水に沈むこともあります。特徴的な赤褐色の木肌には、美しい黒色の縞模様がありますが、色調は変化に富んでいます。また、木理は交錯し、やや粗い肌目を持っています。

その重硬さにより、乾燥や加工は難しいものの、美しい仕上がりが得られる利点があります。シタンは虫や菌に強く、耐朽性に優れており、かすかなバラの香りが漂うこともあります。

シタンの主な用途

古くから工芸用素材として名高く、シタンの木材は様々な製品に使われています。特に、正倉院の宝物に見られる唐木細工や、家具、仏壇、仏具、床柱、装飾品、楽器などに利用されます。近年では、エレキギターの指板材としても広く用いられており、その人気が高まっています。

主なシタンの種と使用例

シタンとされる木材の中には、代表的なものとしてケランジィ、マルバシタン、ココボロ（Dalbergia retusa）などがあります。特にケランジィは、本紫檀として広く認識される一方、ラオスやベトナムでは異なる名称で呼ばれています。

マルバシタンはインドやジャワを産地とし、心材はケランジィに似ていますが、黒色の縞模様が特徴です。また、ココボロはテーブルナイフやスプーンの柄に使われ、シタンの一種として重用されています。

更に、インドカリン属のコウキやカリンも、シタンに近い性質を持ちながら異なる用途があります。これらの木材は、紫檀として認識されたり、あるいは紫檀系として親しまれることがあります。

市場価値

シタンとされる木材の中でも、特に高価値が付けられるのは、またそれに見合った品質を持つものです。市場価値は、材質の特性や希少性により大きく異なり、特に本紫檀とされるケランジィやマルバシタンには高額な取引が行われています。2020年代には、さらにプレミアムな木材として注目されており、需要が高まっています。

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