ジュリー・ニューマー

ジュリー・ニューマー（本名ジュリア・シャーリーン・ニューメイヤー）は、1933年 8月16日にカリフォルニア州ロサンゼルスで誕生した、アメリカを代表する女優、ダンサー、そして歌手です。彼女のキャリアは多岐にわたりますが、特に1960年代のテレビシリーズ『バットマン』で演じた魅力的なヴィラン、キャットウーマン（日本ではミス・キャットとして紹介）役で、その名が広く知られています。

生い立ちとキャリアの始まり

ニューマーは、ロサンゼルス・シティカレッジの体育学部長で、かつてはプロのアメリカンフットボール選手でもあった父ドンと、母ヘレン・ジェズマー・ニューメイヤー夫妻の間に生まれた3人兄弟の長女です。弟のジョン・ニューメイヤーは、ハーバード大学で博士号を取得した疫学者であると同時に、著作家やワイン醸造家としても活動しています。

エンターテイメントの世界に入った初期、彼女はまだ本名のジュリア・ニューメイヤー名義で活動していました。1953年には『Slaves of Babylon』でダンサー兼暗殺者、『Serpent of the Nile』では全身を金色に塗った「金色の女性」を演じるなど、個性的な役柄を経験します。また、『バンド・ワゴン』（1953年）や『ディミトリアスと闘士』（1954年）といった作品では、クレジットされないながらもダンサーとして出演しました。ユニバーサル・スタジオでは、振付師やダンサーとしても舞台裏を支えています。

舞台と映画での成功

映画女優としての最初の重要な役を得たのは、1954年の『掠奪された七人の花嫁』でした。その後、彼女は舞台にも進出し、1955年にはブロードウェイミュージカル『Silk Stockings』でデビューを飾ります。1956年には、新聞連載漫画を基にしたブロードウェイミュージカル『リル・アブナー』で脚線美のキャラクター、ステューピファイン・ジョーンズを演じ、その役は1959年の映画版でも再び演じられました。1959年には、シャルル・ボワイエやクローデット・コルベールと共演した舞台『The Marriage-Go-Round』でのスウェーデン女性役が高く評価され、演劇部門のトニー賞助演女優賞を受賞するという快挙を達成しました。彼女はまた、ジョエル・グレイと共に『Stop the World – I Want to Get Off』の全米ツアーに参加したほか、『くたばれ!ヤンキース』のローラ役や『あなただけ今晩は』のイルマ役など、様々なミュージカルで主要な役を演じています。

映画では、低予算コメディ『The Rookie』（1959年）でヒロインを務めたほか、『マッケンナの黄金』（1969年）などに出演。1970年代以降はテレビ出演が中心となりますが、1980年代以降も低予算映画にいくつか顔を出しています。1995年の映画『3人のエンジェル』は、そのタイトル自体がジュリー・ニューマーへの敬意を表したものであり、彼女自身も終盤にカメオ出演しています。

テレビでの名声

ジュリー・ニューマーの知名度を決定づけたのは、やはりテレビの世界でした。1964年から65年にかけて放送された『My Living Doll』ではガイノイド（女性型アンドロイド）のローダを演じ、そして何よりも1966年から67年にかけての『バットマン』シリーズで、悪女キャットウーマン役を繰り返し演じ、強烈な印象を残しました。（なお、1966年の映画版ではリー・メリウェザーが、テレビシリーズの最終シーズンではアーサ・キットが同じ役を演じています）。

『バットマン』以前にも、彼女は人気テレビシリーズにゲスト出演しています。1962年には『ルート66』に2つのエピソードで出演。その他、『トワイライト・ゾーン』、『F Troop』、『The Beverly Hillbillies』、『それ行けスマート』などにも登場しました。1967年には『モンキーズ』や、SF金字塔である『宇宙大作戦』にもゲスト出演し、妊娠したクリンゴン人のプリンセスというユニークな役を演じています。1970年代には『刑事コロンボ』や『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』にもゲストとして招かれました。

その後も、『The Love Boat』、『Buck Rogers in the 25th Century』、『探偵ハート&ハート』、『白バイ野郎ジョン&パンチ』、『Fantasy Island』といった人気シリーズにゲスト出演を続けました。1996年には『メルローズ・プレイス』で本人役を演じ、2003年のテレビ映画『バットマン&ロビンザ・リターン』では、かつての共演者たちと共に本人役で登場、往年のシリーズの回想シーンでは若き日の彼女がジュリア・ローズによって演じられました。2010年にはアニメシリーズ『バットマン:ブレイブ&ボールド』に声優としてゲスト参加しています。

その他の活動と私生活

エンターテイメントの分野以外でも、ニューマーはその多才さを見せています。1968年5月号の『PLAYBOY』誌ではグラビアページに登場し、1992年にはジョージ・マイケルのヒット曲「Too Funky」のミュージックビデオに出演しています。また、ファッションデザイナーのティエリー・ミュグレーは、パリで開催した自身の20周年記念ファッションショーで彼女をモデルに起用しました。

実業家としての顔も持ち、特にユニークな製品で3つの米国特許を取得しています。これらは、ヒップを整えるバンド付きのパンティーストッキングや、ブラジャーに関する特許です。1980年代からはロサンゼルスの不動産に投資しており、特にラ・ブレア・アベニューやフェアファクス・アベニュー周辺の不動産価値向上に貢献したと評価されています。

私生活では、1950年代初頭に作家のルイス・ラムーアと短期間婚約した後、1977年に弁護士のJ・ホルト・スミスと結婚しましたが、1984年に離婚しています。息子が一人おり、ジョン・ジュール・スミスと名付けられています。彼は聴覚障害とダウン症候群を抱えています。

かつて隣人であった俳優ジェームズ・ベルーシとは法廷で争う時期もありましたが、ベルーシが自身のシットコム『According to Jim』でこの確執をユーモラスに取り上げたエピソードに彼女をゲスト出演させたことで、最終的には友好的な関係が築かれました。また、熱心なガーデニング愛好家としても知られ、ロサンゼルス市議会に対してリーフブロワーの一時的な禁止を求める発議を行うなど、市民活動にも関わっています。

2008年、ニューマーはシャルコー・マリー・トゥース病と診断されたことを公表しました。この診断は、彼女に新たな一歩を踏み出させ、著作家としてのキャリアを開始するきっかけとなりました。現在、3冊の本の執筆に取り組んでいます。

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