ストケソサウルス

ストケソサウルス：ジュラ紀後期の小型捕食者

ストケソサウルスは、全長3～4メートルと推定される小型の肉食恐竜です。約1億5000万年前、ジュラ紀後期の北アメリカ大陸、現在のユタ州に生息していました。初期のティラノサウルス上科に分類され、その進化を解き明かす重要な手がかりとなる存在です。

発見と研究の歴史

ストケソサウルスの化石は、1960年代からユタ州のエメリー郡クレヴェランドロイド恐竜発掘現場で発見されました。地質学者ウィリアム・リー・ストークス氏とジェームズ・H・マッドセン氏のチームによって、数千ものアロサウルスの骨と共に発掘されたバラバラの化石は、1970年代初頭にマッドセン氏によって詳細な分析が行われ、新種であることが判明しました。1974年、マッドセン氏は模式種であるストケソサウルス・クレヴェランディを記載、属名はストークス氏への敬意を表して命名されました。

当初、いくつかの化石がストケソサウルスに分類されていましたが、後年の研究により、一部は別種の恐竜であることが判明しました。例えば、当初ストケソサウルスとされていた上顎骨は、後にタニコラグレウスのものとされました。また、イギリスで発見された化石は、新たな属ジュラティラントとして分類されました。これらの研究を経て、現在ではストケソサウルスの化石はホロタイプ標本である腸骨（臀部の骨）のみが確実視されています。この腸骨の長さは22センチメートルと小さく、若い個体のものであることが示唆されています。当初、成体の全長は4メートルと推定されていましたが、近年の推定では2.5メートル、体重60キログラム程度とされています。

分類と系統的位置

ストケソサウルスの分類については、発見当初から議論が続いています。当初はティラノサウルス科に分類されていましたが、現在の系統解析では、より基盤的な位置、具体的には初期のティラノサウルス上科に位置付けられています。特に、エオティラヌスやジュラティラントと近縁であると考えられています。 いくつかの研究では、前寛骨臼の狭い窪みをシノティラヌスと共有することからプロケラトサウルス科に分類される可能性も示唆されていましたが、近年の研究ではプロケラトサウルス科ではなく、ティラノサウルス上科の中でも、プロケラトサウルス科やディロングよりも進化した位置に分類されています。

古生態：モリソン層の環境

ストケソサウルスが生息していたモリソン層は、約1億5630万年前から1億4680万年前のジュラ紀後期に形成された地層です。当時は乾季と雨季がはっきりとしたステップ気候で、モリソン盆地には河川が流れ、沼や湖、氾濫原が広がっていました。

古動物相：共存生物

ストケソサウルスは、様々な恐竜や生物と共存していました。植物食恐竜としては、カマラサウルス、ディプロドクス、ステゴサウルスなどの巨大な竜脚類や、カンプトサウルス、ドリオサウルスなどの鳥盤類がいました。肉食恐竜としては、アロサウルス、ケラトサウルスなどがおり、ストケソサウルスはこれらの大型捕食者の影で生きていたと考えられます。その他、多様な両生類、爬虫類、哺乳類、植物が生息する豊かな生態系の一部として、ストケソサウルスは独自のニッチを築いていたと考えられています。

まとめ

ストケソサウルスは、化石証拠が限られているため、その生態についてはまだ多くの謎が残されています。しかし、近年の研究によって、初期ティラノサウルス上科におけるその位置や、当時の環境が徐々に明らかになってきています。今後の研究によって、この小さな捕食者の生態がさらに詳細に解明されることが期待されます。

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