トリガー条項

トリガー条項について

概要

トリガー条項（英: trigger clause）とは、特定の事象が発生した場合に、自動的に税率を変更したり、歳出を削減するような措置を講じる法律の規定を指します。この条項は主に、ガソリンの価格に関連して日本で使われることが多く、租税特別措置法に基づいて運用されています。

日本国内では、ガソリン価格が3か月間にわたり1リットルあたり160円を超えた場合、揮発油税と地方揮発油税の減税が自動的に適用される仕組みとなっています。逆に、3か月連続で130円を下回った場合は、元の税率に戻される仕組みです。

背景

2009年の衆院選では、民主党がガソリン税の暫定税率廃止を公約に掲げ、その結果、政権を樹立しました。しかし、鳩山由紀夫内閣は、国際的な温暖化対策や財政赤字の懸念を受けて、ガソリン税の暫定税率をそのまま継続する決定を下しました。この決定は、選挙公約の違反とされ、世論から強い批判を受けました。

2010年には、租税特別措置法の改正が行われ、ガソリン価格が高騰する際に特則税率の適用を停止するトリガー条項が設けられました。これにより、ガソリン税の特則税率分が減税されることになりました。

トリガー条項の制定と適用

トリガー条項は、レギュラーガソリンの全国平均価格が連続して一定の価格を超える場合に自動的に発動します。具体的には、価格が160円を超えた場合には25.1円の減税が実施され、逆に130円を下回れば元の特則税率が復活します。この他にも、トラックで使用される軽油に関しても軽油引取税が連動し17.1円が減税されます。

凍結と再検討

2011年には、東日本大震災の復興財源確保が難しいとして、トリガー条項の適用が一時的に凍結されることが決定されました。この凍結により、トリガー条項は実質的に機能を停止していました。

2021年には複数の政党がトリガー条項の凍結解除を求める法案を提出しました。立憲民主党や国民民主党は、トリガー条項の必要性を強調し、発動の検討を促進しました。しかし、自民党は脱炭素社会を念頭に、慎重な姿勢を崩しませんでした。

現在の状況

2023年には、トリガー条項の凍結解除に向けたいくつかの動きがありましたが、実行には慎重な意見が多く見受けられました。財務大臣は、国際的な脱炭素の潮流や、巨額の国の財源が必要であることを理由にトリガー条項の凍結解除に関する課題を述べています。また、与党内で議論が続き、徹底的な検論を求める声も上がっています。

結局、2024年度の与党税制改正大綱にはトリガー条項に関する記載が盛り込まれず、政治的な駆け引きや国民の意見の変化が大きな要因となっています。トリガー条項の運用は、今後も議論の焦点となるでしょう。

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