ナブコ

株式会社ナブコ（NABCO Ltd.）

株式会社ナブコは、かつて日本に存在した機械メーカーです。1925年に日本エヤーブレーキ株式会社として創業し、鉄道車両用エアブレーキの製造から事業を開始しました。その後、自動空気ブレーキ、電磁直通ブレーキ、電気指令式ブレーキなど、鉄道車両のブレーキシステム全般を手がけ、日本の鉄道技術の発展に大きく貢献しました。

沿革

創業から成長

1924年、神戸製鋼所と米ウェスティングハウス・エア・ブレーキ（WABCO）社との間で、鉄道車両用エアブレーキに関する特許権実施契約が締結されたことが、ナブコの歴史の始まりです。

1925年3月5日、日本エヤーブレーキ株式会社が設立され、神戸製鋼所内で操業を開始しました。発動機製造（現ダイハツ工業）と東京瓦斯電気工業も資本参加しており、設立当初から鉄道車両の安全運行を支える重要な役割を担っていました。

1928年には、押田安之助技師が「A動作弁」を開発し、1929年には鉄道省の客車に「AVブレーキ装置」として採用されました。このA動作弁は、その後の国鉄の客車や電車の標準ブレーキシステムとして広く使用されるようになり、ナブコが鉄道技術の進歩に大きく貢献したことを示す象徴的な製品となりました。

戦時中の変遷と戦後の復興

1943年、戦時中の英語規制により、商号を日本制動機株式会社に変更しましたが、戦後の1946年には日本エヤーブレーキ株式会社に再び変更しました。1949年には大阪証券取引所に上場し、1951年には、戦争により中断されていたWABCO社との技術導入契約を更新しました。さらに、1953年には米ナショナル・ニューマティック社とドアエンジンや窓拭機の技術導入契約を結び、事業の多角化を図りました。

株式会社ナブコへの改称と統合

1992年、株式会社ナブコに商号を変更し、2001年には本社を神戸市西区高塚台に移転しました。その後、2003年9月29日に帝人製機と持株会社方式で経営統合し、共同持株会社ナブテスコを設立。2004年10月1日には、帝人製機と共にナブテスコに吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。

主要製品

鉄道車両用製品

ナブコは、鉄道車両用ブレーキシステムのリーディングカンパニーとして、以下のような幅広い製品を提供していました。

各種ブレーキ制御装置：自動空気ブレーキ、電磁直通ブレーキ、電気指令式ブレーキ（HRD、HRA、HRDA形など）
空気圧縮機：特にHS-20形は、水平対向シリンダ方式を採用し、低騒音、低振動、小型軽量化を実現。
ブレーキ関連製品：空気圧縮機用除湿装置、制輪子（ナブコシュー）、ワイパー
トレッドブレーキユニット（ユニットブレーキ）
戸閉装置（ドアエンジン）：空気式と電気式があり、多様な車両に対応。
新幹線用戸閉装置、ドア押さえ装置

その他の製品

フラット防止装置
車内案内表示器
自動幌装置
ホームドア、可動式ステップ

技術開発

ナブコは、長年にわたり、鉄道車両の安全と快適性を向上させるための技術開発に注力してきました。特に、以下のような技術が評価されています。

A動作弁：1928年に開発され、鉄道車両のブレーキシステムの基礎を築いた。
HS-20形空気圧縮機：低騒音、低振動、小型軽量化を実現し、多くの鉄道会社で採用された。
各種戸閉装置：空気式、電気式ともに、安全性と信頼性の高い製品を開発し、鉄道車両のドアシステムの進化に貢献。

参考文献

70年史編纂委員会『ナブコ70年史：1925 - 1996』ナブコ、1997年10月。

外部リンク

ナブテスコ株式会社
株式会社ナブコ - ウェイバックマシン


株式会社ナブコは、鉄道車両用ブレーキシステムの技術革新を牽引し、日本の鉄道の発展に大きく貢献しました。その技術と製品は、現在の鉄道車両にも引き継がれ、安全で快適な鉄道輸送を支え続けています。

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