ニトリルゴム

ニトリルゴム（NBR）は、合成ゴムの一種であり、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンを共重合させることによって作られます。その優れた特性から、様々な分野で広く利用されています。

特徴

ニトリルゴムは、特に耐油性、耐摩耗性、引き裂き強度に優れている点が特徴です。そのため、油圧機器のシール材や、油を使う環境下での使用に適しています。一方で、耐オゾン性や耐寒性は他のゴム材料と比較して劣るため、使用環境を選ぶ必要があります。

分類

アクリロニトリルの含有量によって、ニトリルゴムは以下の3つのタイプに分類されます。

低ニトリルタイプ: アクリロニトリル含有量が25質量%未満
中ニトリルタイプ: アクリロニトリル含有量が25質量%以上35質量%以下
高ニトリルタイプ: アクリロニトリル含有量が35質量%超

アクリロニトリルの含有量を調整することで、ゴムの特性を変化させることが可能です。例えば、アクリロニトリル含有量を高くすると、耐油性は向上しますが、柔軟性が低下する傾向があります。

変性ニトリルゴム

ニトリルゴムの特性をさらに向上させるために、様々な変性が行われています。

カルボキシル変性ニトリルゴム（XNBR）: メタクリル酸を共重合させることで、強度や耐摩耗性を向上させています。
NBIR: ブタジエンの一部をイソプレンに置き換えることで、柔軟性や反発弾性を向上させています。
水素添加ニトリルゴム（HNBR）: ブタジエン部分の二重結合に水素を付加させることで、耐オゾン性や耐熱性を向上させています。ただし、NBRと比較して高価になります。

用途

ニトリルゴムは、その特性を活かして、様々な製品に利用されています。

Oリング、ガスケット等のシール材
使い捨て手袋
ホース、チューブ
自動車部品
* 工業用部品

アレルギーについて

ニトリルゴムは天然ゴムではないため、ラテックスアレルギーの原因にはなりません。しかし、成形時に添加される薬品によって、遅発性アレルギー反応を引き起こす可能性があります。アレルギー体質の方は、注意が必要です。

ニトリルゴムは、その多様な特性と変性技術によって、幅広い分野で活躍している重要な合成ゴムです。用途に合わせて最適なタイプを選択することが重要です。

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